2019 Fiscal Year Annual Research Report
Asymmetric Borylation with Chiral Dense Reaction Space
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18H03907
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 肇 北海道大学, 工学研究院, 教授 (90282300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 朋宏 北海道大学, 工学研究院, 助教 (50638187)
前田 理 北海道大学, 理学研究院, 教授 (60584836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 不斉合成 / 光学活性配位子 / ホウ素化 / 計算化学 / 反応経路自動探索法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、計算化学を援用することで、光学活性銅(I)触媒の合理的設計を行い、最終的には未踏の領域である「非対称稠密型触媒」を開発することである。本年度では、以下の成果を得た。 1. ハロゲン置換ケトンの銅(I)触媒によるケトン選択的ホウ素(Org. Biomol. Chem. 2019, 17, 5680):ケトンに対して選択的にホウ素化が進行した後、環化反応による環状エーテルが生成した。2. ラセミ体ベンジルハロゲン化物のエナンチオ収束型ホウ素化(Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58, 11112):ボリル銅(I)中間体がベンジルハライドと反応した後、ラジカルの再結合により不斉ホウ素化を達成した。反応機構について詳細なDFT計算を行った。3. 銅(I)触媒による三置換アルケニルホウ素化物のエナンチオ選択的合成法の開発(Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 11998):ジフルオロメチル置換アルケンのエナンチオ選択的ホウ素化と、カルボニル化合物への立体選択的アリルホウ素化に成功した。4. CH活性化によるトリアリールボランの直接合成法の開発(Chem. Eur. J. 2019, 12924) 5. アシルボランを出発物とした発光性C,Nキレートボレート化合物の合成 6. ピロールの不斉脱芳香族ホウ素化反応による光学活性N-ヘテロ環状アリルホウ素化合物の合成法の開発:電子吸引基をもつピロールの不斉脱芳香族ホウ素化に初めて成功し、そのカルボニル基への立体選択的ホウ素化を達成した。7. ケイ素基を配向性基とした、銅(I)触媒による三置換アリルホウ素化合物のリニア選択的アリルホウ素化反応:銅(I)中心へのアリルホウ素の選択的トランスメタル化と、カルボニル化合物への反応をコントロールした。詳細なDFT計算を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、「1. 末端アルケン・非対称内部アルケン・ポリエンの位置選択的不斉ホウ素化の開発(平成30年度から33年度)」「2. 不斉脱芳香族ホウ素化による環状光学活性有機ホウ素の新合成手法の開発(平成31年度から33年度)」「3. 光学活性含フッ素有機ホウ素化合物の新しい合成法とキラルフッ素合成ブロックの開発(平成32年度から33年度)」「4. アシルボロン化合物の新合成法開発(平成32年度から33年度)」が項目としてあげたが、1のうち一部(末端アルケン)に関しては前年度までに研究を達成し更に本年度ではアレンの反応(未発表)に関して大きな進展があった。2に関してはピロールの不斉脱芳香族ホウ素化と環状エーテル構造を持つ有機ホウ素化合物の合成に成功し、目的をほぼ達成している(Org. Lett. 2020, 739; Org. Biomol. Chem. 2019, 17, 568)。また、3,4に関しても、前年度までに当初の予定を前倒しして研究を完成させ、報告しているが、本年度はそれに加えて更に進展があった(Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 11998; J. Org .Chem. 2020, 4172)。また、こうした状況から、当初予定よりも大幅に早く研究が進展している。さらに、本研究を遂行している中で、さらにケイ素基を配向性基とした、銅(I)触媒による三置換アリルホウ素化合物のリニア選択的アリルホウ素化反応(ACS Catal. 2020, 2471)や「メカノケミストリー」に着目した研究を行うことができ、全く新しい条件におけるホウ素化反応を開発することに成功した(Science 2019, 1500)。当初研究計画を超えて研究が進展している。よって「(1)当初の計画以上に進展している」と判定した
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Strategy for Future Research Activity |
末端アルケン・内部アルケン・ポリエンの位置選択的不斉ホウ素化:末端脂肪族アルケンの高選択的エナンチオ選択的ホウ素化を達成する。この基質のコントロールは、基質の立体的な相互作用部位が小さいため困難であるが、本研究ではより高選択的な触媒・配位子を計算化学、特に反応経路自動探索法と、機械学習を駆使し、実験的実証を組み合わせて合理的設計を実現する。さらにより困難な課題である、非対称な内部脂肪族アルケンやポリエンに対する位置選択的、エナンチオ選択的なホウ素化を達成する。触媒の構造のデザインにおいては、比較的弱い分子間力(分散力、CH/π相互作用)を考慮したDFT計算を用いる。また、多置換アレンの位置選択的ホウ素化を達成し、アルキル四置換アルケンの立体選択的合成法を開発する。さらに研究分担者である前田理教授(北海道大学)と協力して反応経路自動探索法を活用した反応経路の設計を行う。また光学活性触媒に必要な光学活性有機リン配位子の合成は、高度なテクニックを必要とするが、この化合物の合成に関して世界第一人者である今本恒雄・千葉大学名誉教授・北海道大学客員教授(研究協力者)からの実験指導、光学活性有機リン化合物中間体の供給によって本研究を達成する。またリン配位部位と、NHC配位部位を持ったハイブリット配位子を検討・開発する。また、非対称稠密反応空間の適用範囲を探るため、また本研究を遂行する中で新たに見出した、ヒドロシランの遷移金属触媒によるホウ素による光学活性シリルボランの不斉合成についても検討する。さらに、得られたシリルボランを用いて、複数のキラルセンターをもつ、光学活性ジシラン、オリゴシランの合成を行う。また、ボールミルを用いたメカノケミストリーを活用した新しい不斉触媒、ホウ素化反応の開発も行う。
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