2018 Fiscal Year Annual Research Report
Periodically Sequenced Polymers via Iterative Vinyl Monomer Additions and Subsequent Efficient Polymerizations
| Project/Area Number |
18H03917
|
|---|
| Research Institution | Nagoya University |
|---|
Principal Investigator |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00273475)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | ビニルモノマー / モノマー配列 / シークエンス / ラジカル付加 / 一分子付加 / メタセシス / チオール・エン / 異性化重合 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
合成高分子におけるモノマー配列制御、とくに汎用性と多様性に富むビニルモノマーの高度な配列制御は、高分子化学における究極の課題である。本研究では、ビニルモノマーに対して、１分子付加反応を繰り返し行い、配列の組み込まれたオリゴマーを合成し、配列を保って高効率に連結させることで、周期配列構造を有するポリマーへ導くことを目的としている。
さまざまな置換基を有するスチレン、アクリル酸エステル、アクリルアミド誘導体などの１分子ラジカル付加反応を適切な遷移金属触媒を用いて繰り返し行うことで、多様なビニルモノマー配列を有する定序配列オリゴマーの合成が可能なことを明らかとした。
次いで、これらのオリゴマーの両末端に炭素―炭素二重結合を導入し、非環状ジエンメタセシス重合により逐次的に重合することで、主鎖にビニルモノマー配列を周期的に有するポリマーの合成が可能となることを明らかとした。また、定序配列オリゴマーを高希釈下で閉環メタセシス反応を行うことで、環状オリゴマーの二量体が選択的に得られることをと見出した。この定序配列環状オリゴマーの開環メタセシス重合を検討し、エントロピー駆動型の重合が進行することを見出した。
一方、定序配列オリゴマーに対して、それぞれの末端に炭素―炭素二重結合とチオールを導入し、ラジカル的なチオール・エン反応により逐次的に重合することで、主鎖に周期的なビニルモノマー配列を有し、炭素―硫黄結合を介して連結されたポリマーの合成が可能であることを見出した。
さらに、定序配列オリゴマーの片末端に炭素―炭素二重結合を導入し、ラジカルの付加に続き、環状遷移状態を経たラジカルの1,5-シフトを用いた連鎖的な重合反応を検討するため、ビニルモノマーの3ユニットから成る種々の定序配列環状オリゴマーの合成を行い、異性化重合を検討した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ビニルモノマーの１分子付加反応を繰り返し行うことで、さまざまなビニルモノマーから成る配列が制御されたオリゴマーの合成が可能であり、反復的１分子付加反応が、精密なビニルモノマー配列の構築に有効なことを明らかにした。配列制御オリゴマーの末端に適切な反応性基を導入し、メタセシス反応やチオール・エン反応を行うことで、配列制御オリゴマーの連結反応が進行し、主鎖にビニルモノマー配列が組み込まれたポリマーの合成が可能であることを明らかとした。さらに、ラジカル異性化重合による配列制御オリゴマーの連結反応を行ったが、ポリマー化にはさらなる検討が必要であることがわかった。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後は、配列制御オリゴマーの連結反応として、メタセシス反応やチオール・エン反応をより高効率に進行させることで、高分子量化をめざす。とくに、メタセシス反応を用いた方法では、配列制御環状オリゴマーを用いることで、生成ポリマーの高分子量化や分子量制御へと展開する。また、ラジカル異性化重合に関しては、配列制御オリゴマーの構造設計により、異性化重合の促進を検討する。さらに、高分子量化が達成された方法に関して、ビニルモノマーユニットへの官能基の導入を検討する。
|
