2018 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡プロセスによる新規多元金属ナノ構造体の作製と高活性電極触媒開発
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18H03927
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鳥本 司 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60271029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 達矢 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (40646759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 合金ナノ粒子 / 多元合金 / イオン液体 / 金属スパッタリング / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
より高活性な金属ナノ粒子触媒を作製するために、多元素からなる複合ナノ粒子が注目されている。しかし金属イオンの還元による従来の液相化学合成法では、複数の金属イオンの酸化還元電位が大きく異なるために、得られる金属ナノ粒子の組成とナノ構造の制御が容易ではない。そこで本研究では、金属の酸化還元反応を用いない方法であるイオン液体/金属スパッタリング法により、従来法では極めて作製が困難であった3種類以上の金属元素を含む多元金属ナノ粒子を、サイズ・組成を精密に制御して自在に作製し、さらにその触媒活性を調査する。本年度はまず、AuとNiの交互配列ターゲットを用い、これをイオン液体に対してスパッタ蒸着してAuNiナノ粒子を作製した。さらに、その尿素酸化に対する電極触媒活性を評価した。尿素は常温常圧で固体であり運搬が容易なうえ無毒で安定であることから、水素燃料に代わる燃料電池用燃料になると期待されている。 Au-Ni交互配列ターゲットをイオン液体に対してスパッタ蒸着し、AuNiナノ粒子を作製した。さらにAuNiナノ粒子をカーボンブラック(CB)粉末に担持して電極触媒とし、0.1 M 尿素を含む0.1M NaOH水溶液中でサイクリックボルタモグラムを測定した。 得られた触媒は、平均粒径7.4 nmの球状AuNiナノ粒子がCB粒子表面に密に担持されていた。粒子組成は、Au-Ni交互配列ターゲット中のNi面積比を変化させることで制御できた。Auナノ粒子は尿素酸化活性を全く示さないが、AuとNiを合金化させたAuNiナノ粒子では、Niナノ粒子よりも高い活性を示した。0.6 V vs. Ag/AgClにおける尿素酸化電流密度をAuNiナノ粒子の組成に対してプロットすると火山型の依存性となった。活性が最も高いAuNiナノ粒子では、純Niナノ粒子の3倍もの尿素酸化活性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AuおよびNiのイオン液体への同時スパッタ蒸着によって、AuNiナノ粒子を作製することに成功した。さらに得られたAuNiナノ粒子が、これまで尿素酸化の電極触媒として用いられてきたNiナノ粒子よりも遙かに高い活性を示した。また、第3の元素をスパッタリングして、AuNiナノ粒子に取り込ませることで、さらに高い活性を示す触媒が作製可能であるとする予備的な知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
新規燃料電池を開発するために重要な反応である尿素酸化反応、および燃料電池の高性能化に必須の酸素還元反応を対象として、イオン液体/金属スパッタリング法によって作製した複合金属ナノ粒子が高活性な電極触媒として作用することを見いだした。今後はさらにこれを発展させ、多元金属ナノ粒子を新規に合成して、さらに高性能な電極触媒反応の開拓を目指す。
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Research Products
(12 results)