2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of life strategy of Japanese anchovy using a growth-migration model
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18H03956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 進一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (00371790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 倫也 九州大学, 農学研究院, 教授 (00183955)
橋岡 豪人 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 研究員 (00463092)
米田 道夫 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(廿日市), 主任研究員 (30450787)
北川 貴士 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50431804)
高橋 素光 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(長崎), 主幹研究員 (80526989)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 水産動物 / 生態・行動 / 水圏環境 / 生物環境 / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
カタクチイワシは「呼吸代謝に関する水温依存性、体重依存性、遊泳速度依存性が異なる個体が存在するために、異なる生息海域、回遊海域を選択している」、そして、カタクチイワシ属は「種によって呼吸代謝に関する水温依存性、体重依存性、遊泳速度依存性が異なるために、それぞれの種の生息海域、回遊経路の特徴が異なっている」という仮説を検証し、世界各地に生息するカタクチイワシ属の生活史戦略を回遊に伴うエネルギーバランスの側面から解明することを目的とした。 2019年度は、8~9月に東京大学大気海洋研究所附属国際沿岸海洋研究センターにて、11~12月には瀬戸内海区水産研究所伯方島庁舎にて、カタクチイワシの遊泳に伴う呼吸代謝とその水温依存性、体重依存性、遊泳速度依存性をスタミナトンネル水槽(閉鎖型循環水槽)を用いて直接測定した。 2018年度に瀬戸内海区水産研究所伯方島庁舎で測定した燧灘のカタクチイワシと、2019年度に国際沿岸海洋研究センターで測定した北太平洋のカタクチイワシの呼吸代謝特性を比較した結果、水温依存性は燧灘の方が高く、遊泳速度依存性は燧灘の方が低いことがわかった。これらの特性を断片的に示されたいるペルー海域およびベンゲラ海域のカタクチイワシ属の呼吸代謝測定と比較すると、北太平洋のカタクチイワシは他の海域の外洋性のカタクチイワシ属と似た性質を示すのに対し、燧灘のカタクチイワシは特異的な特性を示すことが判明した。ただし、燧灘のカタクチイワシについては、北太平洋のカタクチイワシよりも大型の個体を用いた実験を実施していたため、北太平洋の個体と同じ体長範囲での再実験を行う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度の計画として1)カタクチイワシの呼吸代謝測定の実験の実施と2)カタクチイワシの成長ー回遊モデル開発を上げていた。予想以上にカタクチイワシはストレスを感じやすく、データを得るために多大な時間を要することが判明したが、実験期間を延長することで、2海域で多くのデータを得ることができた。これらのデータをもとに、これまで断片的にしか得られていなかった海外でのデータと比較した結果、沿岸域に生息する燧灘のカタクチイワシだけ特異的な特性を持つことが示された。この成果は、当初描いていた予想を上回る明白な成果であり、当初の予想以上に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
年度末に予定していた検討会が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、中止せざるを得ない状況となった。新型コロナウイルス感染症の感染状況を観察しつつ、検討会の実施(オンラインも含め)による実施を検討する。また、これまでに得ている実験データをもとに解析を進め、各海域のカタクチイワシの呼吸代謝特性の差を明らかにする。
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[Presentation] Climate change impacts on growth and migration of Japanese anchovy (Engraulis japonicus) in the East China Sea and its uncertainties2020
Author(s)
Shin-ichi Ito, Takashi Setou, Micho Yoneda, Masahiro Nakamura, Hajime Kitano, Michiya Matsuyama, Chenying Guo, Megumi Enomoto, Tomoya Aono, Takashi Kitagawa, Motomitsu Takahashi, Taketo Hashioka
Organizer
Ocean Science Meeting 2020
Int'l Joint Research
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