2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of molecular mechanism and universality of ribosome ubiquitin code
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18H03977
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲田 利文 東北大学, 薬学研究科, 教授 (40242812)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 翻訳品質管理 / リボソーム / ユビキチン化 / クライオ電子顕微 / 異常翻訳停滞 / サブユニット解離 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞の保持する品質管理機構は、異常な遺伝子産物を認識し排除することで遺伝子発現の正確性を保証しています。研究代表者は、翻訳停止に起因する品質管理機構を世界に先駆けて発見し分子機構の解明を進めてきました。これまでに、翻訳伸長反が途中で停止した場合に、合成途上のポリペプチド鎖のユビキチン化とプロテアソームによる迅速な分解が起こることを世界に先駆けて報告しました。今回、研究グループでは、ユビキチン付加酵素であるHel2が、特異的な翻訳停止状態のリボソームを認識し、リボソームタンパク質の特定の残基をユビキチン化することが、異常翻訳を認識する品質管理機構の普遍的な分子機構であることを以前報告しています。今回、衝突したリボソームが Hel2 による品質管理を誘導する特異的構造を形成することを見出しました。翻訳品質管理の標的となる2つのリボソームが衝突して停滞した構造を、クライオ電顕で解明しました(EMBO J, 2019)。 さらに翻訳停滞によってタンパク質合成を分解経路へと導く内在性の配列を世界で初めて発見し、その停滞メカニズムを、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析、遺伝学や生化学的な手法を用いた機能解析によって明らかにしました。また、発見した内在性の配列を用いて、①翻訳停滞、②リボソームの衝突、③衝突したリボソームのユビキチン化、④ユビキチン化されたリボソームのサブユニット解離までの多段階反応を試験管内で再現することに成功し、RQT複合体が翻訳停滞したリボソームのサブユニット解離を誘導する本体であることを初めて証明しました。また、試験管内の再現実験により、品質管理機構に関与する因子の詳細な機能が明らかになりました(NSMB, 2020)。またヒトにおけるRQT複合体を同定しました(Sci Rep, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異常リボソームは様々な発現異常の原因となるため、細胞は機能欠損リボソームを認識し排除する品質管理機構を解析した。その結果、リボソームタンパク質uS3のユビキチン化が必須であることを示し、関与するE3ユビキチンライゲース群の同定に成功した。この研究成果により、細胞の持つ新たな品質管理の仕組みが分子レベルで解明しただけでなく、リボソーム機能欠損に起因する遺伝病であるリボソーム病の理解に大きく貢献することが期待される。従って、本研究課題は。概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
翻訳停滞に起因する品質管理機構RQCと、異常リボソームの品質管理機構であるNRDにおける「リボソームユビキチンコード」を、出芽酵母と高等真核生物で解明する。 【目的1】本年度は、①RQC による制御の生理的意義を明らかにする。特に小胞体への局在化に焦点を当てて解析を行う。②ヒトでの異常翻訳の認識機構と解離反応を試験管内反応で再構築することをめざす。ヒトRQT複合体の精製に成功しており、試験管内での再構築のための条件検討を進める。②ユビキチン化リボソームのサブユット解離のリアルタイム観察を目指す。 【目的2】Mag2と新規E3ライゲースによる機能欠損リボソーム認識機構を解明する。A1492C を持つ機能欠損リボソームが開始コドンで停滞することをSelective profilingで明らかにしたため、開始コドンで停滞したリボソームにおける2段階でのユビキチン化反応の分子機構を解明する。また、ヒト培養細胞における機能欠損リボソーム品質管理NRDの検証を進める。
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