2018 Fiscal Year Annual Research Report
高次生命現象を制御する鋳型非依存的RNA合成酵素の構造と機能
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18H03980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 耕造 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00345274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RNA / 構造解析 / ノンコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
Lin28依存的に前駆体let-7(pre-let-7)をウリジル化することにより成熟型let-7の発現を抑制する分子機構を、ウリジル化酵素であるヒト由来TUT4のLin28結合ドメイン(Lin28 interacting module : LIM)のX線結晶構造解析、構造を基とした生化学機能解析、また分子細胞生物学的解析を行うことによりにより明らかにした。LIMは不活性型のヌクレオチド転移酵素ドメイン(ncNTD)とC2H2型のZinc結合ドメインからなる。解析から、Zinc結合ドメインがpre-let-7の二本鎖部位に結合し、ncNTDはpre-let-7のGGAG配列を含む末端ループにLin28と同時に結合し、これらの結合によって、pre-let-7の3’末端がTUT4の触媒ドメイン(Catalytic module: CM)へリクルートされ、結果として、Lin28に依存したpre-let-7のオリゴウリジル化が誘導されることが明らかになった。また、U6 snRNAおよびSAM合成酵素(Mat2A) mRNAをメチル化する酵素であるヒト由来METTL16の脊椎動物に存在するC末端側ドメイン(VCR)が、U6 snRNAのウリジル化酵素であるTUT1に見いだされたRNA結合ドメイン、KA-1と非常に似た構造であることを見出し、VCRがU6 snRNA認識に必要であることをX線結晶構造解析、生化学機能解析により明らかにした。 さらに、病原性大腸菌の有するアミノアシルtRNAを標的とする毒素とそのインヒビター蛋白質の複合体のX線結晶構造解析、生化学的解析、遺伝学的解析により、インヒビターによる毒素の活性の抑制メカニズムを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Lin28依存的に前駆体let-7をウリジル化することにより成熟型let-7の発現を抑制する分子機構を、ウリジル化酵素であるヒト由来TUT4のLin28結合ドメインのX線結晶構造解析、生化学機能解析により明らかにしたため。この成果は将来、薬剤開発へつながる技術基盤を提示する重要なものであると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに他の鋳型非依存的RNA合成酵素についての解析を進めるとともに、RNAの複合体についても進めていく。また、RNAの修飾酵素の機能構造解析、tRNAを標的とする毒素のについての機能構造解析等に成果が出つつあるため、これらの解析をもすすめる。
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