2019 Fiscal Year Annual Research Report
高次生命現象を制御する鋳型非依存的RNA合成酵素の構造と機能
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18H03980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 耕造 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00345274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RNA / 構造解析 / 機能解析 / 蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
該当年度は、乳がんにおいて発現が上昇しており、予後不良との関連も示唆されているヒト由来細胞質tRNAHisの5'モノリン酸をメチル化する、tRNAキャッピング酵素(BCDIN3D)の構造決定に成功し、その構造が7SKの5’トリリン酸のγリン酸をメチル化する酵素(MePCE)と似ていることを見出し、構造比較、生化学解析からBCDIN3Dによる RNAメチル化の反応分子メカニズムを明らかにするとともに、基質tRNAの認識モデル提唱した。また、、ヒト由来U6 snRNA内のmRNA5’スプライスサイト認識に関わるアデノシンA43のメチル化酵素(METTL16)のC末領域に存在するVCRの構造に成功し、その構造がU6 snRNA特異的なウリジル化酵素に見られるKA1と相同性が高いことを見出し、生化学的解析を通してVCRとKA1は機能においてもU6交換可能であることを明らかにした。さらに、一連の生化学的解析よりこのVCRがU6 snRNAに結合することによって、U6 snRNAの構造変化が生じ、結果としてメチル化部位を含むRNA構造が活性型になりMETTL16のN末端側のメチル化反応ドメインがA43を効率よくメチル化できることを明らかにした。これ以外に、RNAをターゲットとする新規毒素の構造決定、またRNAとの複合体の構造決定などにも成功している。また、Lin28依存なlet7前駆体のオリゴウリジル化に関わるTUTのN末端側 (LIM)に接合し、Lin28-let7-TUT4の形成を阻害する環状ペプチドのスクリーニングを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
該当年度は、学術論文としてヒト由来細胞質tRNAHis特異的なキャッピング酵素(BCDIN3D)の構造決定に成功し、その反応分子メカニズムを明らかにするとともに、基質tRNAの認識モデルを発表できた。また、、ヒト由来U6 snRNA内のmRNA5’スプライスサイト認識に関わるアデノシンのメチル化酵素(METTL16)のC末領域の構造に成功し、METTL16によるU6 snRNAのメチル化反応の分子メカニズムを明らかにした。さらに、他の酵素に関してはRNAとの複合体の結晶をえており、その構造決定に成功しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、さらに現在得られている結晶の構造解析を進めるとおともに、各種蛋白質とRNAの結晶化を進める。
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