2020 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母の遊離糖鎖解析がもたらす新規糖鎖代謝機構の解明とヒト稀少疾患への応用
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18H03990
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 匡 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (90345265)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オリゴ糖転移酵素 / STT3 / 遊離糖鎖 / Doa10 / Hrd1 |
Outline of Annual Research Achievements |
出芽酵母におけるOSTの遊離糖鎖生成活性について、膜タンパク質のうちnon-essentialな遺伝子欠損株約400株ほどについて遊離糖鎖の量、および構造に違いがでる変異体がないかどうかの検索を行った。その結果、先に見出していたユビキチンリガーゼ(Doa10, Hrd1)の他に、いくつか野生型と異なる表現型を示す変異体を確認した。現在これらの株について詳細な解析を行なっているところである。一方哺乳動物においては、肝細胞においてOSTの加水分解によって生じると考えられる小胞体遊離糖鎖は、分泌されて血清中のシアリル遊離糖鎖になる、と考えられている。これまで我々は血清遊離糖鎖の単離と構造解析を行なっていた(Seino, et al., Glycobiology 2016)が、その血清糖鎖について精製法を検討したところ、これまでの方法では検出できなかった中性糖鎖(オリゴ・高マンノース型:複合型)や、Gn1型糖鎖(還元末端がGlcNAc1個になっている糖鎖)、またミルクオリゴ糖に類似した糖鎖など、新規な糖鎖構造が複数見つかった。興味深いことに、Gn1型糖鎖の存在比については、動物種によって大きなばらつきが観測された。現在このGn1型糖鎖の生成機構について解析を進めている。特にミルクオリゴ糖型遊離糖鎖の生成にはOSTは関わっていないことが考えられ、血清遊離糖鎖の精製には複数のメカニズムが関与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現状はフルタイムで本研究に従事する研究者、テクニカルスタッフはいない。学生が昨年10月より参画するはずであったが、コロナ禍の影響で来日が延期となり、現状いつ来日がかなうかわからない状況である。パートタイマーの協力を得て研究を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ユビキチンリガーゼに関する研究については、今後はOSTの精製などパートタイマーでは対応が難しい研究となるため、学生の博士課程の研究テーマにもなっているため、コロナ禍が鎮静化して来日をまっているところである。一方パートタイマーでできるような研究(変異株の解析、血清糖鎖の解析など)はできる範囲で進めているところである。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Regulation of BMP4/Dpp retrotranslocation and signaling by deglycosylation.2020
Author(s)
A. Galeone, J. M. Adams, S. Matsuda, M. F. Presa, A. Pandey, S. Y. Han, Y. Tachida, H. Hirayama, T. Vaccari, T. Suzuki, C. Lutz, M. Affolter, A. Zuberi, and H. Jafar-Nejad
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Journal Title
eLife
Volume: 9
Pages: e55596
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Glycometabolic regulation of the biogenesis of small extracellular vesicles.2020
Author(s)
Y. Harada*, K. Nakajima, T. Suzuki, T. Fukushige, K. Kondo, J. Seino, Y. Ohkawa, T. Suzuki, H. Inoue, T. Kanekura, N. Dohmae, N. Taniguchi, and I. Maruyama
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 33
Pages: 108261
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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