2021 Fiscal Year Annual Research Report
How species diversity is determined?: eco-genomics for the evolutionary community ecology of a predator-prey system
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18H04010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 紘士 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (00508880)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オサムシ / フトミミズ科 / 種多様性 / 捕食者ー被食者 / ゲノム / 生態ゲノミクス / 形質進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)オオオサムシ亜属における体サイズ変異の遺伝的基盤:地域間で顕著な体サイズ変異を示すヒメオサムシについて,全ゲノム配列と5集団からのリシーケンスデータを用い、デモグラフィー推定と、集団間のゲノム配列変異(とくに体サイズのQTL領域)を解析し、体サイズ分化に関わるデモグラフィー過程と選択圧の推定を行った。 (2)オオオサムシ亜属における交尾器形態種間差の遺伝的基盤:交尾器の種間差をもたらす発生遺伝的過程を解明するために,交尾器形態差が大きい近縁種,アオオサムシ,シズオカオサムシ,カケガワオサムシ,ミカワオサムシの幼虫を飼育し,蛹の時期にRNAlaterで固定し,交尾器部分から得たmRNAについてRNAseqを行った.RNAseqデータに基づく遺伝子発現解析の参照ゲノム配列としてシズオカオサムシの全ゲノム配列をアセンブルした。種間・性間の遺伝子発現プロファイルの比較から、交尾器サイズの進化と性間の共進化に関わる遺伝子群と発現プロファイルを特定した。 (3)フトミミズ科群集の調査:日本各地におけるフトミミズ科群集の種構成を調べるために,奥多摩地方他において採集を行った。得られたサンプルについてCOI,28SrRNA遺伝子のシーケンスによるDNAバーコード解析を行った。 (4)日本産フトミミズ科の系統解析:収集したフトミミズ科のサンプルをDNAバーコードで分類し、種と考えられるまとまりの代表サンプル約200個体分について、ショットガンシーケンスを行い、全ミトゲノムおよび核28S-18SrRNA領域の配列をアセンブルした。これにデータベースにある大陸産のデータを加え、フトミミズ科の分子系統樹を作成した。この系統樹から、日本産フトミミズ科の起源、分岐年代、主要形態形質(腸盲嚢、受精嚢孔)の進化傾向を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本産フトミミズ科の系統関係の概要を、ミトゲノムおよび核28S-18SrRNA領域の分子系統解析で解明することができた。また全ゲノム配列をもとにした、交尾器形態多様化、体サイズ分化の解析も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ヒメオサムシの体サイズ多様化過程に関して論文をまとめ公表する。 (2)遺伝子発現プロファイルの比較に基づく交尾器サイズの性間共進化メカニズムに関する論文を公表する (3)全ゲノム比較によるオオオサムシ亜属の形質進化の研究基盤を整備するためにこれまでに取得したシーケンスデータの公表を進める (4)ミトゲノムに基づく日本産フトミミズ科の系統解析結果について論文をまとめ公表する (5)日本各地におけるフトミミズ科群集の種構成変異に関して、系統進化、系統地理、生態分化等の観点から解析し、論文にまとめる
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Research Products
(6 results)