2019 Fiscal Year Annual Research Report
Age-related alterations of hematopoietic stem and progenitor cells due to failure of Bach transcription factors
Project/Area Number |
18H04021
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 和彦 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00250738)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張替 秀郎 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50302146)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 造血幹細胞 / 老化 / 転写因子 / 遺伝子発現 / 骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
造血幹細胞の老化過程を解析し、高齢発症の様々な造血系疾患を予防/改善する治療戦略の基盤作りを目的とする。これまでの研究から、BACH1およびBACH2を欠損するマウスは、老化時に生じる造血系細胞変化に類似するパターンを示すことを見いだしている。そこで、老化に伴う造血幹細胞の表現型変化とBACH因子の機能を解明する。その為に、申請者らが独自に作成したBACH1あるいはBACH2欠損マウス、そしてそれらの二重欠損マウスを用いて造血系細胞の老化に関する検討を進めた。BACH1とBACH2遺伝子の二重変異マウス(B1B2 DKO)の解析を進め、同マウスの骨髄幹細胞は赤血球やリンパ球への分化不全など、骨髄異形成症候群様の異常を示すことを確定していたが、その詳細な解析をさらに進めた。さらに、BACH1およびBACH2の標的遺伝子の探索を進め、興味深いものについてその機能解析を進めた。特に、標的遺伝子のBリンパ球特異的遺伝子欠損マウスを作製することで、BACH2欠損のフェノタイプの少なくとも一部を標的遺伝子で説明できる可能性をみいだしつつある。 B1B2 DKOではTリンパ球の異常活性化によると思われるサイトカインストーム様の状態が生じることを見いだしていたが、これも造血幹細胞の異常に寄与することは否定できない。そこで細胞外在性要因の影響を除いて検討していくために、B1B2 DKOマウスとRAG2ノックアウトマウスを交配し、サイトカインストームを来さないマウスを作出し、その造血系異常の解析を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨髄異形成症候群は急性骨髄性白血病などの前駆疾患であり特に高齢者で発症する。その発症にはゲノムの変異が深く関わることが報告されているが、なぜ造血幹細胞の分化障害が生じるのか、については理解が進んでいない。これまでの研究から、BACH2の発現低下が骨髄異形成症候群の病態形成に関わることが強く示されたと考えている。造血幹細胞の赤血球やリンパ球への分化には、BACH2やBACH1による骨髄球(単球、マクロファージ、顆粒球など)で働く遺伝子の抑制が重要であることも示していたが、今年度の研究から重要な下流標的遺伝子をさらに同定し、その機能解明を進めつつある。この新規標的遺伝子はこれまで造血系での機能が全く不明であるが、Bリンパ球特異的ノックアウトマウスの解析から、液性免疫応答に必須の因子であることが判明している。この因子についてさらに研究を進めることで、Bリンパ球におけるBACH1およびBACH2の作用機構の理解を深めることができると期待している。また、Bリンパ球以外の造血系細胞で特異的に遺伝子を不活性化する計画も進めており、造血系における普遍的な機能も解明できる可能性がある。サイトカインストームの影響を除外してBACH2の機能を解明するため、Bリンパ球特異的BACH2欠損マウスの解析も開始している。この研究からは、Bリンパ球が他造血系細胞に及ぼす調節作用も解明したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)液性免疫応答の加齢変化におけるBACH2の関与 加齢マウスにおいてBリンパ球の抗原応答性が変化することが最近報告された。抗体クラススイッチや体細胞突然変異が低下し、液性免疫の機能が低下する。一方、代表者らはBACH2が抗体クラススイッチにも体細胞突然変異にもほぼ必須であることを既に報告している。昨年度の計画の中で、加齢マウスに現れるBリンパ球集団(加齢関連Bリンパ球)を解析する系を立ち上げた。一方、BACH2ノックアウトマウスではTリンパ球の異常活性化を原因とするサイトカインストーム様異常も生じることから、BACH2と加齢の関係は解析し難い。そこでBリンパ球特異的BACH2ノックアウトマウスを作製したので、このマウスにおけるBリンパ球異常を詳細に調べていく。 2)造血幹細胞加齢におけるBACH1およびBACH2の関与 昨年度に、BACH1/ BACH2/Rag2の三重欠損マウスを作成し、同マウスではサイトカインストームによると思われる様々な症状が消失し、二重変異マウスよりも全身状態は改善することを確認した。そこでこの三重欠損マウスを用いて、造血幹細胞・前駆細胞に加齢に類似する異常か、などを骨髄移植なども組み合わせて検討する。 3)BACH1およびBACH2により直接制御される遺伝子を新たに発見し、そのBリンパ球特異的遺伝子破壊マウスを作製した。このマウスにおけるBリンパ球の機能異常を調べていく。また、各種細胞を用いてさらに標的遺伝子を探索し、加齢変化に関わることが想定されるものについて機能解析を進める。 4)BACH1およびBACH2の活性が加齢とともに変化することが予想される。その仕組みにタンパク質修飾が関与すると考え、質量分析を用いた翻訳後修飾の網羅的解析を進める。
|
Research Products
(17 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Journal Article] Biophysical characterization of heme binding to the intrinsically disordered region of Bach1.2019
Author(s)
Segawa, K., Watanabe-Matsui, M., Tsuda, K., Matsui, T., Shirouzu, M., Igarashi, K. and Murayama, K.
-
Journal Title
The European Biophysics Journal
Volume: 48
Pages: 361-369
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Journal Article] Haploinsufficient tumor suppressor Tip60 negatively regulates oncogenic Aurora B kinase.2019
Author(s)
Bose, A., Sudevan, S., Rao, V.J., Shima, H., Trivedi, A.K., Igarashi, K. and Kundu, T.K.
-
Journal Title
Journal of Biosciences
Volume: 44
Pages: 147
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-