2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the cause of diabetes in the Japanese population using whole genome information and development of diagnostic and therapeutic methods using iPS cells
Project/Area Number |
18H04053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 敏正 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40372370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩部 真人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30557236)
岩部 美紀 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70392529)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝因子機能解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は40万人の東アジア人のゲノムワイド関連解析により2型糖尿病(T2DM)の疾患感受性遺伝子領域としてゲノムワイド有意水準に達した新規61領域を同定し、論文がacceptに至った(Nature in press, 2020)。解析に用いた東アジア人のT2DM数がはじめて欧米を凌駕して、世界最大規模になった。本解析によりT2DM感受性領域の組織・性別特異性が明らかにできた。日本人T2DM合併症の発症・進展に関わる感受性遺伝子領域を全ゲノムシーケンスにより解析を行い、同定した。昨年度同定した日本人T2DM感受性88遺伝子領域内に存在するSNPsの中で、(1)ミスセンス変異によって蛋白の構造と機能を変化させるもの、(2) eQTL解析で遺伝子の発現を変化させるもの等を解析した。 (1)臨床情報等バイオインフォマティクスも駆使して、インスリン分泌低下型or抵抗性型かを明らかにし、BMI等の臨床情報に関連したクラスタ解析により、特徴毎に分類し、発現組織を発現解析によって明らかにした。ミスセンス変異がどのような立体構造/機能の変化をもたらすのか、欧米人には殆ど存在せず、日本人に特徴的で膵β細胞分化や機能に重要な2つの遺伝子を含む複数についてクライオ電顕による立体構造解析結果も用いながら明らかにし、実際の薬剤反応性の違いや機能変化のメカニズムを解明した。 (2) eQTL解析で遺伝子の発現を変化させるものの中で、その表現型を説明し得る組織への発現が確認されたものに関して、エピゲノム解析と発現解析より組織特異的な影響の分子機序を複数明らかにした。iPS細胞を糖尿病関連代謝臓器として膵β細胞及び脂肪細胞に分化させ報告した(Stem Cell Res Ther. 10:185, 2019)。有望因子に関しては、遺伝子改変マウスの表現型並びにそのメカニズム解析に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、アジア人2型糖尿病及び日本人2型糖尿病合併症の発症・進展に関わる疾患感受性遺伝子領域を同定することを予定し、前者は論文がacceptの段階、後者は実際に解析を終了し同定の確定中である。日本人2型糖尿病感受性88遺伝子領域内に存在するSNPsの中で、(1)ミスセンス変異により蛋白の構造と機能を変化させるもの、(2) eQTL解析で遺伝子発現を変化させるもの等の解析を計画していた。 (1)臨床情報等も駆使して、インスリン分泌低下型or抵抗性惹起型かを明らかにし、BMI等の臨床情報に関連したクラスタ解析により、特徴毎に分類し、発現組織を発現解析によって明らかにした。ミスセンス変異がどのような立体構造/機能の変化をもたらすのか、欧米人には殆ど存在せず、日本人に特徴的で膵β細胞分化や機能に重要な2つの遺伝子を含む複数の遺伝子について、クライオ電顕による立体構造解析のデータも駆使しながら、薬剤反応性や遺伝子機能変化の分子メカニズムを明らかにした。 (2) eQTL解析で遺伝子の発現を変化させるものの中で、臨床情報やエピゲノムを含む種々のデータベースと照らし合わせ、優先順位をつけた。その表現型を説明し得る組織への発現が確認されたものに関して、エピゲノム解析と組織特異的発現変化解析より組織特異的な影響の分子機序を複数明らかにした。iPS細胞を糖尿病関連代謝臓器として膵β細胞及び脂肪細胞に分化させ報告した(Stem Cell Res Ther. 10:185, 2019)。有望因子に関しては、遺伝子改変マウスの表現型並びにそのメカニズム解析に着手した。以上より、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究も予定通り進むよう推進する。(1)ミスセンス変異により蛋白の構造と機能を変化させる遺伝子多型の探索・解析では、遺伝情報を日本人20万人のみならず東アジア人40万人まで加え、パスウェイ解析をより強化し、組織・性別特異性等バリアントの影響を特徴毎にさらに分類する。有望遺伝子の発現組織を発現解析により明らかにするのも継続する。ミスセンス変異の立体構造/機能への影響をin silico予測を駆使する際に、クライオ電顕を用いて解析しているグループとの共同研究のデータも加えて、さらに継続して明らかにする。以上のような解析により日本人2型糖尿病とその合併症の発症や進展に関連するもの、薬剤反応性に関連するもの等として有望なものに関して、日本人iPS細胞にゲノム編集と機能解析を継続する。有望因子の遺伝子改変マウス作製と表現型解析も継続する。(2) eQTL解析も、遺伝情報を日本人20万人のみならず東アジア人40万人まで加え、遺伝子発現を変化させるものの中で、臨床情報やエピゲノム解析も駆使し、組織・性別特異性も考慮し、優先順位をつけながら、日本人iPS細胞のゲノム編集を継続し、表現型責任臓器となる糖尿病関連代謝臓器に分化させ機能解析することを継続する。有望因子のノックアウトとノックインマウス作製と表現型解析も継続する。
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