2018 Fiscal Year Annual Research Report
Novel cancer therapy strategies, targeting cancer cell surface glycans using lectins (=glycan binding protein) as drug carriers.
Project/Area Number |
18H04057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60808070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / がん特異的糖鎖 / レクチン / 薬剤融合タンパク / 標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は膵癌を始めとする難治癌に対して、癌細胞の最外層を覆う糖鎖層(glycocalyx)をレクチン(糖鎖結合蛋白)で標的するという、全く新しい概念に基づく新規がん治療法の具現化を目指している。既に、膵癌マウスモデルで多くの基礎的な知見を得ているが、本件研究ではi) 抗原―抗体に比べて結合力が劣ると言われる糖鎖―レクチン結合を使った本戦略が、in vitroで1000倍以上も強力な抗腫瘍効果を上げたメカニズム解明を目指す。また、ii) 狭義のレクチンは猛毒(リシン)と同様に赤血球凝集活性を持つものが多いが、rBC2 レクチンを使ったLDC では赤血球凝集が起こらないメカニズムは何か?そして、iii) がん以外の組織、細胞表面糖鎖にレクチンが非特異的に結合する可能性や、それによってもたらされる不都合な副次反応はないのか?を検証する。H30年度は、主に、iii)の課題について、LDCでの毒性をラットで検証した。 (1) LDCによる雌ラットを用いた単回静脈内投与(30分インフュージョン)毒性試験(投与量250、300、350、400及び500 μg/kg)。 (2)LDCによる雌ラットを用いた単回腹腔内投与毒性試験(投与量250、300、350、400及び500 μg/kg) (3)LDCによる複数回静脈内投与。150, 200, 250 &μg/kg(30minかけてinfusion投与)を週2回×3週間(計6回)投与。 その結果、ラットでは濃度依存性はなく散発的に死亡動物がでる事、また、複数回投与の後半で蓄積毒性により死亡がでる事はなく、死亡動物は初回投与時に亡くなっている事が示された。今後、動物種を替えての検証、障害臓器の組織解析などを行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度は、主に、iii)の課題(がん以外の組織、細胞表面糖鎖にレクチンが非特異的に結合する可能性や、それによってもたらされる不都合な副次反応はないのか?)についてラットで検証した。 i) LDCによる雌ラットを用いた単回静脈内投与(30分インフュージョン)毒性試験(投与量250、300、350、400及び500μg/kg)。各群5匹=計25匹のうち、3匹が死亡(300及び400 μg/kg投与群で各1, 2匹)し、LDC投与による急性毒性が示唆された。一方で、350及び500 μg/kg投与群では計10匹中1匹も死亡例がみられず。 ii) LDCによる雌ラットを用いた単回腹腔内投与毒性試験(投与量250、300、350、400及び500 μg/kg)。各群5匹=計25匹のうち、1匹が死亡(400 μg/kg投与群の1匹)。一方で、500μg/kg投与群を含めた残り24匹は血液データの異常も示さず生存。 iii) LDCによる複数回静脈内投与。150, 200, 250μg/kg(30minかけてinfusion投与)を週2回×3週間(計6回)投与。各群5匹=計15匹のうち、1匹が死亡(200μg/kg投与群の1匹)。この1匹も初回投与後に死亡しており、 250 μg/kg×6回=合計1500 μg投与群の5匹は血液データの異常も示さず生存。 iv) LDCによる複数回腹腔内投与。200, 250, 300 μg/kgを週2回×3週間(計6回)投与。各群5匹=計15匹のうち、250 μg/kg投与群の2匹が死亡。 その結果、ラットでは濃度依存性はなく散発的に死亡動物がでる事、また、複数回投与の後半で蓄積毒性により死亡がでる事はなく、死亡動物は初回投与時に亡くなっている事が示された。今後、動物種を替えての検証、障害臓器の組織解析などを行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
【1. 膵癌3Dオルガノイドにおけるレクチン融合薬(LDC)の抗腫瘍効果】 Ⅰ:ヒト膵癌3Dオルガノイドバンクの構築ーー本年度、来年度は、膵癌3DオルガノイドにおけるLDCの抗腫瘍効果を解析し、臨床応用へ向けたPOC(proof of concept)の確立を目指す。我々は、既に膵癌3Dオルガノイド培養に着手している。2019-4/9現在、7例の患者から5例のオルガノイドを樹立した。しかし、培養確立まで50日と時間がかかること、また、増殖速度が既報に比べて遅い、などの問題があり、3Dオルガノイド培養の安定した手技の確立を目指す。20-30症例のオルガノイドバンクを確立する。 Ⅱ:ヒト膵癌3DオルガノイドにおけるLDCの薬剤感受性試験ーーフコシル化糖鎖(H-type 1/3/4)が高発現している膵癌細胞株におけるIC50は1.04 pg/ml=19.5 fmol/Lと極めて低かったが、低発現株では23.01~711.2 ng/Lと高く、LDCの効果は期待できない。実際の臨床膵癌患者においてLDCがどれだけ効果があるのか、確立した20-30症例のオルガノイドバンクでのMTT assayを行い、臨床膵癌における最小有効濃度を決定する。 Ⅲ:(安全性-a) rBC2レクチン染色による正常組織、複数の癌種への反応性評価 ーー rBC2レクチン染色による正常組織、複数の癌種への反応性評価ーー血管内にLDCを投与した際、非腫瘍組織への集積(N=noise)は不都合な副次反応の原因となる。rBC2レクチンが反応するH type 3糖鎖が発現する臓器をマウス及びヒト組織で検討し、治療対象となる癌種の絞込、副作用がでる可能性を検証する。マウス、ラット、サルなどの動物種を替えて、臓器集積性を解析する。
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[Journal Article] Surgical resection of hepatic and rectal metastases of pancreatic acinar cell carcinoma (PACC): a case report.2018
Author(s)
Ohara Y1, Oda T2, Enomoto T1, Hisakura K1, Akashi Y1, Ogawa K1, Owada Y1, Domoto Y1, Miyazaki Y1, Shimomura O1, Kurata M1, Ohkohchi N1.
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Journal Title
World J Surg Oncol.
Volume: 16
Pages: 158-161
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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