2019 Fiscal Year Annual Research Report
Novel cancer therapy strategies, targeting cancer cell surface glycans using lectins (=glycan binding protein) as drug carriers.
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18H04057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小田 竜也 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20282353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60808070)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵癌 / レクチン / 糖鎖 / 標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は膵癌を始めとする難治癌に対して、癌細胞の最外層を覆う糖鎖層(glycocalyx)をレクチン(糖鎖結合蛋白)で標的するという、全く新しい概念に基づく新規がん治療法の具現化を目指している。膵がん細胞の最外層を覆う癌特異的糖鎖構造(フコース化Htype3構造)に結合するrBC2LCNレクチンに緑膿菌外毒素(PE38)を結合させたLectin Drug Conjugate (LDC)は、in vitro 及び in vivoで非常に強い抗腫瘍効果を発揮することを確認し、既に、膵癌マウスモデルデ多くの基礎的な知見を得てきた。 2019年度は、様々な個性が異なる臨床患者さんに対して、このLDCが効果を発揮できるか、効果の強弱に影響する因子、分子メカニズムに明らかにする為に、患者由来の膵癌組織から3Dオルガノイドライブラリーの構築にとりかかった。25例中、20例(80%)でオルガノイドの樹立に成功し、EGF, Wntの依存性から4つのサブタイプに分類した。これらのオルガノイドにおける糖鎖発現をレクチンマイクロアレイで解析した。 また、本年度は、膵癌だけでなく、大腸がんでもこのLDCが効果を示すかの検証を行った。大腸癌マウスモデルを作製し、rBC2LCNレクチン薬物複合体療法の治療効果と毒性をin vivoで検証した。2種類の細胞株LS174TおよびDLD-1はrBC2LCNレクチンとの強い親和性を示し、同細胞株を移植したマウスモデルにおいてrBC2LCN-PE38は腫瘍増大を有意に抑制した。一方、HT-29はrBC2LCNレクチンとの親和性が低く、マウスモデルにおけるrBC2LCN-PE38の治療効果も低かった。明らかな毒性や有害事象は認められなかった。このことから、LDC療法は大腸癌細胞表面糖鎖を標的とした新たな治療オプションの一つとなり得ると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膵癌の3Dライブラリーの作成には、高価な試薬Wnt/Afamin3a培地やEGF が必要な事から、その条件設定に時間を要した。2019年より3Dオルガノイド研究で世界的な研究中心である慶応大学と共同研究を開始した。2019年度の研究予算を一部2020年度に繰り越し、結果として2020年には20/25例の3Dオルガノイドの樹立を行うことが出来た。膵癌3Dオルガノイドライブラリーを構築する間、2019年は膵癌以外の大腸がんに対してもLDCが効果を発揮できる事を検証する事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今まで独自に、及び、検査試薬メーカーの協力を得て精製し研究に利用してきたnon-GLPグレードのLDCには、3量体だけでなく、多くの2量体、1量体といった不完全な夾雑物が混じってしまう事が分かっていた。その不完全なLDCを使って研究を進めても、得られるデータの精度に疑問が残るので、2020年度には国内大手製薬メーカーと共同開発契約を結び、GMPグレードでほぼ純粋な3量体からなるLDCを作成予定である。
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