2019 Fiscal Year Annual Research Report
Contribution of protein recycling system for the maintenance of skeletal muscle mass
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18H04080
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永富 良一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20208028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 友浩 大阪工業大学, 工学部, 教授 (30217872)
村山 和隆 東北大学, 医工学研究科, 准教授 (40400452)
鈴木 直輝 東北大学, 大学病院, 助教 (70451599)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋 / プロテアソーム / 腸管平滑筋 / リサイクル / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋の量や機能は競技能力のみならず一般生活者、とりわけ高齢者の生活の質を規定する重要な要素の一つである。我々はタンパク質分解系であるプロテアソーム機能不全マウスが重度の骨格筋萎縮を来すことを見出し、タンパク質分解産物に重要な役割がある可能性を明らかにすることを推進してきた。プロテアソームによるタンパク質分解由来のアミノ酸が新規タンパク質合成の材料として再利用されと考えていたが、安定同位体でラベルしたアミノ酸はとりこまれず、むしろ細胞内ATPのレベルに影響がみられ、分解由来のアミノ酸の利用についてどのような細胞維持機構に貢献しているのか、詳細な解析が必要となってきた。そこで本年度は、プロテアソーム分解産物がどのように処理されていくのかに着目した。プロテアソーム分解は直接アミノ酸ではなくオリゴペプチドとなり、オリゴペプチドがアミノペプチダーゼによりアミノ酸まで分解されていく。そこでアミノペプチダーゼ阻害の影響を、培養系で検討した。マウス筋芽細胞C2C12を細胞内アミノペプチダーゼ阻害剤である膜透過性べスタチンに曝露させると、細胞内のアミノペプチダーゼ活性が抑制されるのに伴い、細胞内アミノ酸量およびATP量が有意に減少することが明らかになった。これによりプロテアソームによるタンパク質分解由来のアミノ酸はエネルギー産生に利用される可能性を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス筋芽細胞C2C12を用いた培養実験系において、膜透過性べスタチンを用いることでプロテアソームによるタンパク質分解だけでなく、アミノペプチダーゼによるペプチド分解を考慮した検証が可能となり、タンパク質分解由来アミノ酸の利用性について詳細な検討を行うことが可能となった。また、その成果として、プロテアソームによるタンパク質分解由来のアミノ酸はタンパク質合成の材料ではなく、エネルギー産生に利用される可能性を明らかにすることができた。以上のことを踏まえて、本研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、マウス筋芽細胞C2C12において細胞内アミノペプチダーゼ阻害により細胞内アミノ酸量およびATP量の減少を引き起こすことを明らかにし、プロテアソームによるタンパク質分解由来のアミノ酸がタンパク質合成ではなくエネルギー産生に利用される可能性を見出した。今後はさらなる詳細な検証を行うため、種々のアミノペプチダーゼ遺伝子のノックダウン実験を行うことで、タンパク質分解由来のアミノ酸がどのような機序でエネルギー産生に利用されるのか、また、どのように調節制御されるのかを明らかにしていく。さらに、in vivoの構造に近い3次元培養筋を用いた実験を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)