2018 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic regulation system of brain network by the spontaneous eyeblinks
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18H04084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 珠実 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90589201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (60374716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 瞬目 / デフォルトモードネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
人はおよそ3秒に1回の頻度で自発的に瞬きを行っている。我々は以前、瞬きの度に、脳の2大神経ネットワークの間で活動が一過性に交替することを、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いて発見した。しかし、血流変化は神経発火から5秒ほど遅れてゆっくりと変化するため、時間解像度が低く、瞬きが脳内ネットワークの変動を引き起こすのか、あるいはその逆に、脳内ネットワークの交替が瞬きを引き起こすのか、両者の因果関係を特定することが難しかった。そこで、本年度は、ミリ秒単位の高い時間解像度と360チャンネルの高密度センサーにより脳全体をカバーする高い空間解像度の両方を兼ね備えた最新鋭のMEG装置を用いて、瞬きと脳内ネットワークの活動交替の時間関係を調べた。22名の健常な被験者にビデオを長時間視聴してもらい、その時に自然に発生した瞬きと脳活動を計測した。また、暗闇で開眼している状態でも、同様に瞬きと脳活動の状態を計測し、比較を行った。眼電計から瞬きのタイミングを抽出し、さらに脳の活動は、隠れマルコフ過程を用いてネットワークの瞬時状態を推定する方法を用いて解析を行ったところ、デフォルトモードネットワークが、瞬きの直後に一過性に活動が上昇することがわかった。このことから、瞬きが先で、その直後にネットワークの活動交替が生じている可能性が強く示唆された。眼球湿潤以外の自発的な瞬きの機能的な役割は未だに不明であるが、脳内ネットワークの動的な調節をしている可能性が本研究により示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、MEG計測により瞬きと脳内ネットワークの活動交替の時間関係の解明が最重要なテーマであったため、そのデータの収集・解析まで終了し、一定の結論を得ることができた点で、計画道理に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた研究結果を基に、さらに、どのような神経機構で瞬きが発生し、さらにそれが脳内ネットワークの活動交替につながるのかを明らかにする方向で研究を展開していく。
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