2019 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic regulation system of brain network by the spontaneous eyeblinks
Project/Area Number |
18H04084
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 珠実 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (90589201)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (60374716)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 瞬き / 脳内ネットワーク / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内ネットワークの動的な調節を引き起こす神経機構を明らかにするために、自律神経系との関係に着目した。なぜなら、瞬きの度に、脳内ネットワークの活動交替に加えて、自律神経系の活動変化が生じていることを以前発見したからである。そこで、まず迷走神経を刺激することで、交感神経と副交感神経のバランスを変化させたときに、脳内ネットワークの活動がどう変化するかを調べることにした。但し、健常な被験者での迷走神経刺激は困難なため、てんかん治療のために迷走神経刺激装置を体内にすでに埋め込んでいる患者を対象に、迷走神経刺激のOnとOffで脳の活動がどのように変化するかを脳波計測により調べた。10名のてんかん患者に実験に参加してもらい計測を行った。てんかんの症状が重い方は、映像を視聴するだけでなく、固視点を見続けることにも困難であったため、まず横臥状態で閉眼してもらい、その時の脳波を迷走神経刺激時と非刺激時で比較した。迷走神経刺激により、電気パルスノイズが乗るため、脳活動データとの切り分けが非常に難しい状況であった。その結果、刺激時と非刺激時で脳のネットワークの活動パターンには大きな違いがみとめられなかった。そこで、異なるアプローチから自律神経系と脳内ネットワークの活動交替との関係を明らかにすることにした。着目したのは、同じ視覚刺激にもかかわらず、見えの交替が自発的に生じる多義図形知覚である。この見えの交替の背景には、脳内ネットワークの活動変遷が関係しているといわれきた。そこで、多義図形の見えの交替の前後で自律神経系の活動の変化を健常成人を対象に調べた。その結果、みえの交替の数秒前に自律神経系の活動が大きく変化していることを発見した。この結果は、自律神経系の活動変化が脳内ネットワークの動的な活動変化に影響を与えている可能性を示唆するものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
てんかん患者を対象とした迷走神経刺激の実験では、患者によっては実験に参加することが難しい状況であったため、計画していた内容での実験が難しく、想定した結果は得られなかった。しかし、そこで方向を転換し、健常成人を対象にした生理指標の計測で、非常に面白い現象を発見した。今後は、さらにその現象の神経機序を掘り下げて明らかにしたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
多義図形の見えの交替に関わる自律神経系の一過性の活動変化の神経機序を明らかにするために、薬理実験や脳活動計測を組み合わせる新たな研究計画を追加し、複雑な自律神経系がどのように脳内ネットワークの動的制御と相互作用しているかを明らかにしていく。
|