2019 Fiscal Year Annual Research Report
Performance improvements of algebraic statistical methods
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18H04092
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
竹村 彰通 滋賀大学, データサイエンス学部, 教授 (10171670)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 計算代数統計 / ホロノミック勾配法 / グレブナー基底 / 多変量解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には代数統計に関する研究書『代数的統計モデル』(青木敏、竹村彰通、原尚幸の3名の共著、共立出版)を刊行することができた。この書物は日本語で書かれた代数統計に関する初めての本格的な研究書である。3名の著者の貢献にあわせて本書は3部からなり、竹村は第I部を執筆した。第I部は代数統計の基本的な事項であるマルコフ基底の定義と性質を述べたものである。数学的な観点からは「マルコフ基底の基本定理」が重要である。この定理は、マルコフ連鎖の連結性を保証するマルコフ基底と、周辺頻度を固定する同時頻度の移動に対応する2項式が生成するイデアルの生成系の同値性を主張するものである。第II部は原尚幸によるものであり、主に分割表に関するグラフィカルモデルを解説している。第Ⅲ部は青木敏によるものであり、実験計画法におけるグレブナー基底の応用について解説している。この書籍は、日本における代数統計に関するのオリジナルな研究の一つの到達点を示すものである。 本研究の対象であるホロノミック勾配法の研究に関しては、分割表上の一般化超幾何分布や行列変数の超幾何関数へのホロノミック法の応用も引き続き進めている。 代数統計とは別の研究テーマとなるが、ゲーム論的確率論の分野で"Erdos-Feller-Kolmogorov-Petrowsky law of the iterated logarithm for self-normalized martingales: a game-theoretic approach"(著者: Takeyuki Sasai, Kenshi Miyabe and Akimichi Takemura)を確率論に関する世界のトップジャーナルであるThe Annals of Probabilityに刊行することができた。Sasai et al.の論文では、ゲーム論的確率論の証明手法を用いることにより、分散が存在しない場合を含め、既存の結果の大幅な一般化に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算代数統計に関するこれまでの研究について、共立出版より『代数的統計モデル』(青木敏、原尚幸、共著)を2019年7月に出版することができた。またホロノミック勾配法についての研究も引き続き進めており、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ホロノミック勾配法の課題として、初期点の選択と、初期点と目的とする点を結ぶ積分路の選択について、個別の問題での工夫が必要とされるが、さらにいくつかの具体的な問題を研究することにより、これらの選択に関する実際的な指針を示すべく研究を進める。
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