2019 Fiscal Year Annual Research Report
脳の情報処理機構に学びユーザの認知を理解し補正するQoE制御の実現
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18H04096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 正幸 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80200301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 大智 大阪大学, 経済学研究科, 助教 (00709678)
荒川 伸一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20324741)
大歳 達也 大阪大学, 情報科学研究科, 特任助教(常勤) (60804458)
大下 裕一 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (80432425)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネットワーク制御 / Quality of Experience / 環境認知 / 集団意思決定 / 認知バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
人の集団意思決定を模したユーザエージェントの確立に向け、拡張ベイズモデルにもとづいて動作するエージェント間で、確信度を交換して意思決定を行うことにより、集団的意思決定を導入したエージェントを構成することの検討を進めている。今年度は、交通状況の判断を行うエージェントとネットワーク状況の判断を行うエージェント間の連携へ適用し、評価を進めた。そして、評価のために現実を模したデータをシミュレーションにより生成し、そのデータをもとに各エージェントが認知をできることを確認し、エージェントの認知が集団的意思決定の導入による改善の評価の準備を完了した。
また、脳の認知機能の限界を補うユーザエージェントの実現に向け、前年度に構築したストリーミング中の意思決定補正エージェントを拡張し、複数の認知モデルを取り込んだより包括的な認知バイアスに対応可能なエージェントの開発を行った。前年度に構築した量子意思決定モデルに基づくQoEモデルに、アンカリング効果を表現する数理モデルを統合することで、ユーザーQoEの時間発展をモデル化した。また、実際の動画視聴時のユーザのQoEを計測したデータベースを用いて、構築したモデルによってユーザの認知バイアスとその時間変化が表現可能であることが示された。また、動画像ストリーミング中のユーザの満足度(QoE)を定量化する方式の拡張を実施した。今年度は動画像の品質に変化が生じる時間に着目し、脳波における事象関連電位の出現を調査した。ユーザが動画に生じた画質変化や一時停止という事象を認知した場合に、事象の約300ミリ秒後の脳波に、P300と呼ばれる正の振幅が見られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人の集団意思決定を模したユーザーエージェント、ならびに、脳の認知機能の限界を補うユーザーエージェントの検討がともに順調に進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
人の集団意思決定を模したユーザエージェントの研究では、昨年度までにシミュレーションで作成したデータを用いて集団的意思決定を導入した場合の意思決定の速度・精度の比較を行い、集団的意思決定の導入による改善を確認する。
脳の認知機能の限界を補うユーザエージェントの実現に向けて、まずQoEの時刻変動に着目し、短期的な QoE 推定手法を構築する。また、量子認知モデルなどの新しい理論において観測データから個人差を推定しモデルを拡張することで選択嗜好を反映したユーザーエージェントの開発を行う。
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