2019 Fiscal Year Annual Research Report
身体性共有と神経情報処理マッピングによる臨機応変な物体操作実現法
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18H04108
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
國吉 康夫 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (10333444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長久保 晶彦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (00357617)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロボティクス / 身体性 / 遠隔操作 / バーチャルリアリティ / 神経情報計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の物体操作は,あらかじめ決められた動作の実行ではなく,状態変化に対して臨機応変に戦略を変えるダイナミックなプロセスである.このような能力をロボットで実現するために,単一動作ではなく,複数スキルを含む連続動作を学習する必要がある.われわれは,物体操作スキル抽出のために,先駆的な高密度触覚グローブを開発した.人の計測結果からスキルを抽出するために,動作の分散構造解析を行ってきたが,この手法は恣意的な動作の分節化やアライメントを必要とし,連続動作への拡張が困難であるという課題があった.連続動作を扱うために,解析的なスキル抽出と人手による動作の分節化を排除し,動作全体の構造を直接ロボットに教示するフレームワークが必要である.本研究では,身体同型化による直接教示と神経活動を含めた多相計測によって,連続動作スキル実現の基盤を確立する. 令和1年度は、トング型コンセプトのハンドを発展させた身体同型化として、多指型コンセプトの同型システムの開発を行う.人の指はさまざまな知的動作において重要な働きをしていると考えられるが、解剖学的に似せたロボットの開発は難しく,成功しているとはいえない.われわれは、人の指運動をロボットに近づけるように制約するというコンセプトで、人が着脱可能なグローブ型のロボットハンドの開発を行う.また、開発した同型システムにおいて模倣学習のためのデータ取得および、分節点検出法に関する研究を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定通り,多指型で人の手に着脱可能なメカニカルグローブと同型のロボットハンドを開発した.開発した多指型について,可動範囲や使いやすさの点で問題があったことから,2指3自由度に簡略化したメカニカルグローブをさらに開発した.このメカニカルグローブを用いて自由度条件が物体操作に与える影響を調べることで、物体操作と身体性との関係を調べる研究を行った.3自由度条件と1自由度条件とで被験者に物体操作を行ってもらい,実行時間を定量評価した結果、コインをつかむ動作を除いて、ほとんどの動作で、自由度が実行時間に影響しなかった.多自由度条件では,物体把持時にスリップする場合が多く,接触表面のすべり感覚などの感覚阻害が、多自由度の制御を困難にすることと,多くの物体操作が双腕と単純なグリッパでも実現可能であることによることが推察された. 他には,昨年度開発した同型システムと眼球運動計測を用いて,連続動作の模倣を行う実験を進めた.また,感覚情報のカテゴライズ理論に関する研究を開始し,分節化の基礎を確立した。これらの研究については、論文化の準備を進めている。開発、実験、理論すべての面で当初の想定を超える成果があがりつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験結果から,低い自由度のトング型のハンドでも双腕条件においては,多自由度ハンドと同等の物体操作が可能であることがわかった.また、眼球運動を用いることで、物体操作に強く関連する画像特徴量に注意を向けることが可能となり、連続動作からの模倣が可能であることが示されつつある.人の眼球運動は、脳波などの神経活動と比較しても、画像特徴や運動意図と直接的に関連づけられるというメリットがあり、当初想定していた以上に豊富な情報を含んでいることが明らかとなってきた.このため、人の意図情報抽出のために用いる生理情報としては,眼球運動により集中して開発を行う方針とすることとした.また、感覚情報を分節化するための一般的な理論的枠組みについて、当初想定していなかった方法を新たに発見した.模倣研究と並行して、分節化実現へ向けて、基礎研究の推進も行う.
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