2020 Fiscal Year Annual Research Report
地球生態系と太陽を繋ぐ新しい光エネルギーフローモデルの創出
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18H04136
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉澤 晋 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00553108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 渉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (50545019)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋微生物 / 微生物生態 / ロドプシン / メタゲノム / カロテノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球規模エネルギーフローを理解する上で重要な“ロドプシンを基軸とする新しい光エネルギーフローモデルの創出”を最終目的としている。2020年度はコロナ禍対応で、実験が想定通り行えなかかったため、主に情報解析を軸に行った。特にこれまで継続して行ってきた、機能未知ロドプシン遺伝子配列の網羅的探索を大規模に実施した。 1. 機能未知ロドプシン遺伝子配列の網羅的探索(継続課題):これまでの研究で立ち上げたロドプシン遺伝子配列の網羅的解析を、本年度も継続して行った。本年度は、昨年度にゲノムを再構築(Metagenome-assembled genomes: MAG)したデータまた真核微生物の網羅的トランスクリプトームに対して、当該遺伝子の探索を大規模に実施した。さらに検出されたロドプシンの膜貫通部位の予測、分子系統解析を実施した。検出された機能未知ロドプシンを持つ原核生物分類群などを調べ、機能解析を行う配列の選別までを行った。 2. 異種発現系を用いた未知ロドプシンの機能解析:アミノ酸配列から機能予測ができなかったロドプシンに関しては、人工的に全DNAを合成し、異種発現系を用いて機能解析を実施した。本年度は特にこれまで機能解析ができなかった配列を対象に発現条件の検討などを実施した。その結果、古細菌に由来のロドプシンの機能解析に成功し、その成果を論文として発表した。しかしながら、コロナ禍で長期間実験が行えなかったため、多くの配列の発現条件の検討も十分に行えなかった。 3. 海洋微生物の細胞内色素解析:これまでの研究で、特定の海洋微生物はレチナール以外のカロテノイド色素を持つことが分かった。そのため、レチナール以外の色素解析の条件検討などを行い、現在ロドプシン遺伝子を持つ多様な種類の海洋微生物の色素解析を実施している。一方で、レチナール生合成を行う既知遺伝子を保有しない細菌でも、レチナールを合成できることを示し論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍対応で当初予定していた分子生物学的手法を用いた実験などが行えなかった。そのため、2020年度は主に情報解析を主体に研究を行った。しかしながら、ロドプシンの機能解明には分子生物学的手法を用いた解析が必要不可欠なため、当初予定よりもやや進展が遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、本年度の課題1で実施した微生物型ロドプシンの環境中における分布を、ロドプシンを保有する微生物分類群の系統とサンプリングサイトの特徴を紐づけることで大規模に可視化する予定である。大規模な可視化を行うことで、特定の機能群が優先する海域や水塊を明らかにしたいと考えている。また、これまでの研究で明らかにしたロドプシンの詳細なイオン輸送機構なども解析する予定である。
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Research Products
(7 results)