2018 Fiscal Year Annual Research Report
Impurity control through a cyclic use of steel towards high-value additive recycling
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18H04147
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
醍醐 市朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20396774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部先端材料開発セクター, 上席研究員 (10385536)
小林 能直 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354269)
小野 英樹 富山大学, 大学院理工学研究部(都市デザイン学), 教授 (30283716)
松八重 一代 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50374997)
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄リサイクル / トランプエレメント / 産業エコロジー / 循環性元素 / 物質フロー分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における2017年から2018年に生産された形鋼と棒鋼を採取し、ハンドヘルド蛍光X線ならびにスパーク放電発光分光分析を用いて不純物濃度を調査した。ハンドヘルド蛍光X線では、組成が0.1%以下の不純物元素についてスパーク放電の結果より低くなることが分かった。さらに、スパーク放電では測定が難しい極微量(ppmレベル)に含まれる不純物元素については、GD-MS測定によって定量分析を行い、各種鋼材中に含まれる不純物の種類と濃度を明らかにした。 溶鉄中トランプエレメントの除去法について系統的に整理し、その可能性について検討した。さらに溶鉄中に溶解する種々の元素の活量におよぼすCu,Snの影響について、未知のデータを実験により測定し、既知のデータと合わせて整理した。得られたデータに基づき、溶鉄中にトランプエレメントが溶解した場合、他の不純物元素にどのような影響を与えるかを考察した。 動的MFAを用いて、雑品スクラップによる国内鉄鋼循環に対する影響を評価し、無視できないことを明らかにした。各起源から混入が想定されるCu量を積上げたところ、実際のCu量の半分くらいが説明でき、その多くは建設物由来の鉄スクラップ中の分電盤や配線等の混入であると推計された。動的IO-MFAモデルの1つであるMaTraceモデルを適用する事で、鉄および主要な合金元素を対象物質として、リサイクルに伴う物質と価値の散逸機構の同定および散逸量の推計を実施すると共に、自動車エンジンを事例として、再生利用(リビルド・リマン)を適用する事による散逸回避効果の推計モデルの開発を進めた。合わせて、2011年表の作表を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における現在の鉄鋼材の不純物濃度ならびにその分布の代表性のある結果を得るための試料採取は想定以上にスムーズに実施できた。一方、ハンドヘルド蛍光X線の分析結果が低濃度において不確かであること分かったため、想定以上に分析に時間がかかることとなった。鉄鋼材に含まれる微量不純物濃度の測定は順調であった。一方、LA-ICPTOFMSによる偏析状況の可視化については、装置不調の影響を受け、今年度は測定ができなかった。 トランプエレメントの代表であるCu,Snについて、その除去方法ならびに他元素におよぼす影響の調査を進め、概ね予定通り進捗した。 MaTraceならびにWIO-MFA分析モデルの開発および事例研究は順調であった。一方、2011年表の作表に関しては、統計の再編・廃止等の影響を受けて主要データの整備・精緻化に課題があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
鋼材中に含まれる極微量不純物の情報を集めるとともに、それら情報を活用し不純物の混入起源の推定手法を開発する。極微量不純物は、偏析している可能性があることが明らかになっているため、LA-ICPTOFMSのメンテナンスを行い、各種不純物元素の偏析状況を明らかにする予定である。 過去に生産された鉄筋棒鋼を建築物解体から得ることで、時系列の不純物濃度データを集め始めたが、分析の結果からさらなる試料採取の必要性が明らかになったため、試料点数を拡充する。分析した結果の解釈について、その時系列変化を説明するモデルを開発し、混入起源の推計にも貢献する。 溶鉄中に溶解する種々の元素の活量におよぼすトランプエレメントの影響について、さらに調査を進める。熱力学的な除去可能性ならびに、実態としての不純物濃度を踏まえ、それら不純物が特性に与える影響について、既存の知見の整理をおこなう。さらに、鉄鋼材に要求される各材料特性と、その特性を必要とする需要先ならびに需要量に関して、需要統計とJIS規格を接続するモデルを開発して明らかにし、トランプエレメントの混入に対してロバストな循環システムの構築に向けた知見を整備する。 MaTraceモデル開発および事例研究を進める。加えて、2011年表の作表に向けて、整備が完了している2000年表等からの投入係数に関するデータ補完と線形計画法などの適用を進める。
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Research Products
(30 results)