Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 英男 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 事業化支援本部技術開発支援部先端材料開発セクター, 上席研究員 (10385536)
小林 能直 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354269)
小野 英樹 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (30283716)
松八重 一代 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (50374997)
中島 謙一 国立研究開発法人国立環境研究所, 資源循環・廃棄物研究センター, 主任研究員 (90400457)
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Outline of Annual Research Achievements |
鉄鋼材中Cuの混入源として、建築解体物由来の分電盤や配線等の可能性が動的MFAにより指摘されたため、建築解体から発生したヘビースクラップ約2トンを展開調査し、混雑物に関する実態を観測した。廃品中Cu濃度が14-23wt%あり、処理シナリオによっては0.52wt%の鉄鋼在中Cu濃度になる可能性が明らかになった。 日本におけるリサイクル鉄鋼材中に存在する不純物元素を同定した。Mn, Cu, Cr, Si, Ni, P, S, Mo, Asは全ての試料で、Sn, Co, B, Vはほぼ全ての試料で、Al, Zrは一部の試料で混在することが分かった。一方、Sb, W, Nb, Pb, Ti, Bi, Ce, Mgはどの試料でも混在が見られなかった。一部の元素は、精錬時にスラグに分配されるためと考えれらる。上記のうち、Cu, Snが溶鉄中に溶解する種々の元素の活量におよぼす影響について、実験による新たなデータの測定と文献の収集の双方よりデータベースの確立を進め、データに基づき溶鉄中Cu, Snが他の不純物元素に与える影響を調査した。また溶解凝固冷却実験を実施し、銅硫化物の析出機構について、元素マッピングによりCuの偏析が要因になっていることを明らかにした。 混在する不純物濃度が、時期とともに変化してきたかどうか調査するため、過去から生産されてきた鉄筋棒鋼を建築物解体現場から試料採取を進め、約150点のサンプルを得るに至った。 動的マテリアルフロー解析用産業連関モデル(MaTrace)に基づき、鉄鋼材の動的循環におけるFe, Ni, Crの流れを可視化した。また同モデルを用いた事例として、自動車エンジンを再生利用することによる物質と価値の散逸回避効果を同定した。これにより、再生利用は、素材リサイクルと同等程度の物質散逸の回避に加えて、より優れた価値の散逸回避が期待できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時系列試料のサンプリングについては、協力先が得られたこともあり、約150点のサンプルが収集できた。 スパーク発光分光分析装置を用いることで、23元素について250サンプル以上のリサイクル鉄鋼材中の不純物濃度を分析することに成功した。これら元素のうち9元素については、NIST標準試料を用いた実験により検量線を引くことで、装置の検出下限よりも精緻な分析を可能とできた。不純物元素の偏析状況の可視化に用いるLA-ICPTOFMSについては、不調の原因となっていた各種部品の交換が終わり、ppmレベルでの測定が可能となった。代表的な不純物元素であるCu, Snについて、実験による新たな熱力学データの測定と文献の収集を行い、その除去ならびに他元素におよぼす影響の調査を進め、概ね予定通り進捗した。 分析モデルの開発および事例研究は概ね予定通り進捗した。一方、2011年表の作表に関しては、統計の再編・廃止等の影響を受けて主要データの整備・精緻化に課題がある。投入産出量の細分化や物量換算に際しては、可能な限り、統計などから当該年の情報を入手して根拠とすることが望ましいが、上記の状況ゆえに、数理計画手法に基づく推計を試みている。
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