2019 Fiscal Year Annual Research Report
Drought adapatation for forest ecosystem conservation in the Ogasawara islands
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18H04149
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
石田 厚 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (60343787)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相川 真一 首都大学東京, 理学研究科, 客員研究員 (10713943)
村尾 未奈 首都大学東京, 理学研究科, 客員研究員 (10825342)
吉村 謙一 山形大学, 農学部, 准教授 (20640717)
坂田 剛 北里大学, 一般教育部, 准教授 (60205747)
市榮 智明 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (80403872)
佐野 雄三 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90226043)
安田 泰輔 山梨県富士山科学研究所, その他部局等, 研究員 (40372106)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 世界自然遺産 / 小笠原諸島 / 温暖化 / 干ばつ / 塩害 / GIS / 樹形構造 / 木部道管 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
小笠原諸島では、2018年から2019年にかけての冬期に干ばつが生じ、さらに2019年10月に台風21号の直撃を受け塩害が生じた。このように、干ばつ、塩害と連続した傷害により、樹木の衰退や枯死が多く見られた。異常気象による樹木や陸域生態系の衰退は、世界各地のバイオームで頻発しており、温暖化に関連した異常気象と関連性がある可能性も高い。こういった干ばつや大型台風による塩害被害は、樹種間差や立地間も大きく、異常気象の将来予測のためにも、データ化しておく必要がある。そこでこういった被害は広域に生じるため、地図や航空写真、ドローン画像のGIS化を進め、解析できるようにしてきた。またプロジェクト当初から、樹木の乾燥耐性の仕組み、乾燥などによる樹木衰退の生理メカニズムの研究も進めており、樹木生理から森林レベルと、ミクロからマクロスケールで、樹木や森林衰退の研究ができるようになった。特に今年度のミクロ系の成果では、特に樹木の乾燥耐性の仕組みとして、木部道管の切れにくさと木部の糖貯蔵能、木部比重との関連を多種間で比較をおこなった。その結果、木部比重が大きくなるほど、木部道管内の水の切れにくさは増加したが、木部の貯蔵糖濃度には相関がみられなかった。しかし、木部比重と木部道管の水の切れにくさ（P50値）の間には、相関があったが、種間で大きなばらつきも見られた。木部比重とP50値を直線回帰し、各種ごとのP50値と直線回帰の間の差を偏差として計算した。その偏差が大きく、直線回帰から予測されるP50値よりも、より道管の水がきれやすい樹種ほど、木部貯蔵糖が多くなることがわかった。そして直線回帰予測よりも道管内の水が切れやすい樹種ほど、細い枝の枯死率が高く、樹形構造もよりシンプルになる傾向が見られた。このことは、樹形構造は水分生理特性と細枝の枯死率によって決定されることを示す。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹木衰退の生理メカニズムに関しては、糖貯蔵仮説と水欠損仮説があり、二つの融合仮説が適切であることを論文で示して来た。さらに、糖貯蔵と水欠損のバランスにより、細枝の枯死率と樹形構造が決定されるといった、新規の観点も見えてきた。一方広域調査では、父島、母島、兄島、婿島の４島に関して、GIS化を進め、乾燥などによる樹木衰退の生理メカニズムの研究、樹木の枝と個体の乾燥耐性の仕組みと樹形構造、森林レベルでの樹木衰退といった、樹木衰退をミクロからマクロスケール研究できるように進めた。これらの研究進展は、計画以上であると言える。
しかし新型コロナウイルス（COVID-19）によって現在、小笠原諸島は入島制限がかかっている状態であり、2020年度の研究計画が立たない状態であるため、評価区分を、２）おおむね順調に進展しているとした。
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| Strategy for Future Research Activity |
ミクロスケールでは、樹木の乾燥枯死、塩害枯死の生理メカニズムの解明を行い、樹種間比較を行っていく。特に、木部水分生理、木部糖貯蔵能が、細枝の枯死率をきめ、樹形構造の決定要因になっていることがわかってきた。一方のアプローチであるマクロスケールでは、小笠原諸島での樹木衰退の広域モニタリングのためGIS化を行い、航空写真とドローン画像の解析と実地調査をから研究を進めていく。今後、ミクロスケールからの樹木のストレスによる衰退の生理メカニズムの解明と樹種間比較、マクロスケールからの樹木衰退の広域調査を融合させ、今度の生態系推移の高度化を図る。
しかし現在、新型コロナウイルス（COVID-19）によって、小笠原諸島には入島制限がかかっており、2020年度の研究の推進には大きな懸念があり、今後の状況を見守っていくしかない状態である。今年度は、入島しなくても行える島嶼のGIS化を進めると共に、7月から小笠原に調査に入れることを見こして、調査準備をおこなっていく。
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[Journal Article] Grazing enhances species diversity in grassland communities2019
Author(s)
Pulungan M, Suzuki S., Gavina M.K, Tubay J., Ito H., Nii M., Ichinose G., Okabe T., Ishida A., Shiyomi M., Togashi T., Yoshimura J., Morita S.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 9
Pages: 11201
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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