2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18H04158
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 松彦 東北大学, 工学研究科, 教授 (20273592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 徹 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40417382)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ハイドロゲル電極 / 頭蓋内電極 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、脳表で用いるハイドロゲル製の生体親和頭蓋内電極の開発で進展が得られた。ハイドロゲル電極によって脳波が十分な精度で測定できることを実証するために、ハイドロゲル電極と配線の絶縁の技術の確立、電極インピーダンス計測による既存電極に対する非劣性の実証、およびゲル製脳ファントム・動物摘出脳を用いた脳表面モデル上での貼り付け状態における電気信号計測の実施を行った。更に当初の予定より研究が進展し、ラットおよびブタを用いた動物実験によってハイドロゲル電極で脳波を計測可能であることを示した。 具体的には、配線の絶縁技術に関して周波数(0.5~10kHz)における被覆部の抵抗が数MΩ以上であり絶縁被覆ができていることを、ACインピーダンス法で実証した。電極部の基礎特性の評価に関しては、ハイドロゲル電極がてんかんなどの脳波である高周波数帯(1 kHz程度)、およびα波やβ波などの脳波である低周波帯(0.5~100 Hz)で市販の頭蓋内電極に劣らない特性を有することを、各周波数におけるインピーダンス値を比較することで定量的に示した。次に、脳表面のモデルとしてゲル製脳ファントム及び動物摘出脳を用いて、シグナル-ノイズ比を市販の頭蓋内電極と比較することによって、ハイドロゲル電極で脳波を十分な精度で計測できることを示した。最後に、動物実験の環境整備とパイロットスタディを実施した。動物実験においては、ラットおよびブタを用い、ハイドロゲル電極によって実際に脳波計測が可能であることを実証した。定常時の脳波(θ波、α波など)の計測および薬剤投与によるてんかん様脳波の計測が安定して行えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目標は、(1)ハイドロゲル電極による体内計測・刺激、(2)バイオ発電を利用する体内通電デバイス、およびこれらを統合した生体親和性電極デバイスの創製である。実績概要で記述した様に、本年度はハイドロゲル電極で当初予定を超える進捗が得られた。一方のバイオ発電デバイスについても順調ではあるが、体内利用の具体である術創治癒の促進効果を明示するには至っていない。よって、総合的な評価として「概ね順調」とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
ハイドロゲル電極の臓器表面への付着に加えて、臓器への「巻付き」などの自己固定の有効性を示すとともに、バイオ発電デバイスの体内利用「術創治癒促進」の効果実証に注力して取り組む。
|
Research Products
(4 results)