2019 Fiscal Year Annual Research Report
Optimization for usage of molecular targeted drugs on cancer therapy
Project/Area Number |
18H04162
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60401072)
苅谷 嘉顕 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20633168)
池淵 祐樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20645725)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | キナーゼ阻害剤 / in silico解析 / システム薬理学 / がん / 治療最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
キナーゼ阻害薬はがん薬物療法において極めて重要な薬剤であるが、副作用の発症機構に未だ不明な点が多く、臨床用量の適切な設定手法も確立されていない。本研究では効果発現・副作用発症の分子機構理解に立脚したPK-PD/TD解析を行うことで、これら薬物の効果を維持しつつ副作用を最小限に抑えるための合理的な投与量設定法を確立することを目標としている。in silico、in vitro、in vivoの融合的方法論により、副作用発症機構の解析と薬物血漿中濃度との定量的関係の解析および抗がん効果と薬物血漿中濃度との定量的関係の分子基盤に基づく解析を行い、最終的にこれらの統合による薬物治療濃度基準の探索を目指している。 2019年度は、細胞内の遺伝子発現量や遺伝子変異含有の有無の情報、および、キナーゼ阻害剤の各キナーゼに対する親和性の情報から、細胞毒性を予測するモデルの構築・精緻化を進めた。このモデルは、がん細胞に適応することで薬効予測モデルとなると同時に、正常細胞に適応すれば、副作用予測を示唆するモデルとなり得る。各種データベースから得られる細胞の薬物感受性情報を用い、現状構築されているモデルの適応限界の把握を進め、更なる改良点のあぶり出しも進めた。また、現段階のモデルが適切な予測性を有しているか、in vitroでの解析も一部進めた。具体的には、in vitroにおいて細胞毒性評価実験を行う細胞と薬物の組み合わせを、モデル予測により強い細胞毒性出現が予測された細胞と薬剤の組み合わせ、弱い細胞毒性が予測された組み合わせ、など幅広く選択し、モデルの性質(精度)を検証出来るような実験を設定し、必要となる各種薬物・細胞の準備を進め、一部の組み合わせに関してin vitro細胞毒性評価実験を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りモデル構築の精緻化に進展があった。また、in vtiro検証実験の準備および検証が順次進められている。これらのことから、概ね計画通りに進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、各種薬物が各種がん細胞生存に与える影響(感受性)を予測するモデルの構築を機械学習を用いて進めてきた。このモデルの精緻化は、実験では膨大な組み合わせとなり全てを検証することが困難な種々の薬物併用する場合などの薬理効果を in silicoにて解析可能とする上で基盤となると考えている。そのため、機械学習学習に用いるデータの入力形式の変形や学習アルゴリズムの修正・変更による in silicoモデルの精緻化は必須であり、今後の研究機期間を通じて常にアップデートを進める。また、モデルの予測精度の評価は、各種データベースなどから薬効に関する情報が取得困難な細胞-薬物の組み合わせに関して、in vitro実験にて確認・担保する必要がある。そのため、高感受性の組み合わせから低感受性の感受性のものまで、幅広い組み合わせで検証実験を行い、予測精度の評価を進めるとともに、予測精度が悪い組み合わせ群が出現した場合には、その原因検討を行い、可能であればモデル改善へとフィードバックを行う。なお、当面は、入手・維持が容易ながん細胞と薬物の組み合わせに関する検証を進めるが、一定のモデル予測性が認めらる段階に至ってからは、初代培養細胞など正常細胞に対する薬物感受性評価も進めることを予定している。これにより、正常細胞障害に起因する副作用予測への応用可能性をin vitroレベルで検証することができる。上記のin silico、in vtiro検討で、がん細胞・正常細胞への薬物感受性が良好に予測できることが確認された後には、担癌モデル動物に対して、薬効が期待できる濃度、かつ、副作用出現が回避できると考えられる濃度にて薬物投与し薬効・副作用を評価することで、構築したモデルのin vivoレベルでの有用性検証を目指す。
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