2019 Fiscal Year Annual Research Report
Identifying the origin of the type-Ia supernova by observations just after the explosion
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18H05223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土居 守 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00242090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 啓一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00503880)
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Project Period (FY) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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Keywords | Ia型超新星 / 親星 / 爆発メカニズム / 標準光源 / 宇宙膨張 |
Outline of Annual Research Achievements |
トモエゴゼンカメラは完成し、毎夜7000平方度を掃天の後2000平方度以上を30分おきに観測、最後に再度掃天する観測を実施しており、データ解析パイプラインの性能向上(参照画像の作成を含む)に努めている。せいめい望遠鏡用の3バンド同時撮像カメラTriCCSは、gバンドでの試験観測を数回実施の後2020年2月に3バンド同時の観測に成功、全国共同利用にも提供していくこととなった。近赤外線分光器NICEは、高地対応のための対応を終え、新型コロナによって遅れているTAO望遠鏡の完成を待っている。 観測研究においては、せいめい望遠鏡において約50晩の観測時間が採択され、Tomo-eにおいて爆発直後の増光がとらえられた二つの超新星をはじめ、複数のIa型超新星を観測、データ解析中である。Ia型超新星の高精度標準光源化にむけて可視光での色と明るさのばらつきを調べ、膨張速度の速い高速Ia型超新星には一部赤く暗いものが存在し、それらを除くと色のばらつきの大部分は星間塵の減光で説明できることを発表した(Arima, Doi, et al. 2020)。高速Ia型超新星についてこれまでで最初期の分光データを取得、そのスペクトル計算による解析を通し、最外層まで爆発的原子核反応が広がっていることを発見した(Kawabata, Maeda et al., ApJ, 2021)。 理論研究においては、Ia型超新星に至る連星進化において最大の未解明問題とされる共通外層期について、大規模な三次元直接計算を行った(Iaconi, Maeda et al. 2020)。白色矮星と通常の星からなる系(降着シナリオ)において、降着に伴う白色矮星の進化と外層における原子核反応計算を推進し、これが高速超新星の一部の起源となる可能性を提示した(Wu et al.,2020)。その他にも関連する観測・理論研究を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トモエゴゼンカメラの超新星観測は順調に実施しており、初期のIa型超新星の観測に成功している(論文準備中)。せいめい望遠鏡のCMOSカメラTriCCSは、本課題で担当する可視3バンド部分は完成した。近赤外線観測モードについては、別の研究グループと協力して開発中であるが、やや遅れている。近赤外線分光器NICEの改修も完了し、望遠鏡の完成を待ちつつある。全体としてハードウエアの整備は新型コロナ禍の影響で近赤外線観測部分が遅れており、当面は他の望遠鏡を用いた観測を計画している。 Ia型超新星の標準光源化でいうと、可視光での色と明るさのばらつきについて、高速Ia型超新星の一部に色が赤い一群があることを発見、それ以外は標準的な塵の減光で説明できることを示せた。高速Ia型超新星はせいめい望遠鏡の観測や理論モデルでの研究は進んだ。またIa型超新星の亜種の研究も観測・理論共に進んだ。 当初よりも進んだところも、少し遅れているところもあり、全体としては、おおむね順調に進展していると自己診断する。
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Strategy for Future Research Activity |
トモエゴゼンカメラについては、引き続き観測を実施する。特に、迅速な追加観測が可能となるように、解析パイプラインの高速化を進めている。TriCCSについては、3バンド同時観測は成功、当初の性能をほぼ達成している。今後は性能の詳細評価を行うと共に、光度曲線の測定を実施する。近赤外線撮像モードは他の研究グループと協力して完成させる予定である。また、TriCCSは他の予算をあわせて、分光モードのたちあげへと進む。近赤外線観測は新型コロナの影響で、国際共同研究に推進が簡単ではなくなっているが、海外の望遠鏡時間を部分的に確保していく努力をしていく。全体として、観測研究においては、Ia型超新星をより高精度の標準光源とできるように、観測データを蓄積していく。 理論研究においては、引き続きIa型超新星の種々のモデルに基づく恒星進化・流体・爆発シミュレーションを進め、新しい観測データを解釈しながら、親星の起源と爆発メカニズムの解明をめざす。
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Research Products
(24 results)