2019 Fiscal Year Annual Research Report
マントル遷移層スラブの軟化と深発地震に関する実験的研究
Project/Area Number |
18H05232
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 友明 九州大学, 理学研究院, 教授 (40312540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祐司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10423435)
鈴木 昭夫 東北大学, 理学研究科, 准教授 (20281975)
金嶋 聰 九州大学, 理学研究院, 教授 (80202018)
宮原 正明 広島大学, 理学研究科, 准教授 (90400241)
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Project Period (FY) |
2018-06-11 – 2023-03-31
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Keywords | 地球内部物質 / 相転移 / 変形破壊 / 高温高圧 / 放射光 |
Outline of Annual Research Achievements |
SPring-8設置のD-DIA型装置を用いたFe2SiO4のオリビン-スピネル変形相転移実験では、特に低温で相転移が起こった場合には脆性-塑性転移を大きく超える8GPaの高圧力下においてもAE活動が活発になることが見いだされた。回収試料のFE-SEMおよびEBSD解析の結果、主応力軸に垂直な方向へ選択的に粒界反応および粒内反応が進行する傾向があり、特に大過剰圧下で歪み量が増加すると、母相の選択配向とともに細粒反応相が連結したネットワーク組織が形成され、変形の局所下につながるプロセスがわかってきた。類似した変形相転移組織は、PF-ARのD-111型装置を用いたMg2SiO4のオリビン-スピネル変形相転移実験においても観察されている。衝撃変成を受けた隕石中の剪断変形による溶融脈の形成や多様な相転移プロセスのFIB-TEM観察を行いながら、変形相転移実験の回収試料に見られる同様の組織との関連性を検討している。 また、660 km地震波不連続面の微細構造をスラブ地震学の手法で解析した結果、特に冷たいスラブ内部に限って不連続面が二重に分裂していることが明らかになった。カイネティクスを考慮して検討すると、それはポストスピネル相転移が2段階に分かれて進行することで説明できることがわかった。2段階で進行すると生成する共析コロニーはより粗粒化する傾向があり、下部マントルスラブの変形機構や強度にも大きな影響を与えることが予想される。2019年9月末に九州大に導入したD-111型高圧変形装置は、年度末までに遷移層条件での高圧変形実験が行える状態になった。これらの新しい知見と技術を駆使して、来年度以降にはポストスピネル相転移に関しても直接的な変形―相転移実験を進めていく。 一方で、高圧相転移と変形の相互作用プロセスをより普遍的に検討するために、遷移層の相転移以外についても、検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度の実績報告書でも述べたように、当初の計画より半年程度遅れた2019年9月末にD-111型高圧変形装置一式の九州大学への導入が完了した。その遅れを取り戻すためにも2020年度研究費の一部前倒し使用を申請し、専用の加熱制御システムを早期に構築することで、2019年度末までに遷移層の高温高圧条件下で定量的な変形実験が行える体制が整った。 一方でD-111型装置導入の遅れにともない、8端子のD-111型AE測定システムの開発も遅れている。オシロスコープの高度化と8端子AE受信機の開発は前年度までに終了し、それらはまず6端子のD-DIA型AE測定システムへ適用され、今年度は10GPaまでの条件で以前よりも質の良いAEデータが得られている。九州大に導入したD-111型高圧変形装置は、放射光施設の同種装置に比べより大容量の試料を用いた実験が可能であり、今後、遷移層条件下でのAE測定を行っていく上で非常に有効であると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
8端子のD-111型AE測定システムの開発を早急にすすめる。D-111型装置に装着する圧電素子のサイズや形状、配線方法等は既に検討済みであるので、それらを用いたAE実験を2020年度から九州大において開始する予定である。その結果をふまえ2020年度後半には、これまでのD-DIA型装置に加えD-111型装置においても、放射光施設におけるAE測定実験を開始する。当初は、高エネ研の放射光施設PFARにてD-111型装置のAE測定実験を行う予定であったが、2020年度内にSPring-8のビームラインにもD-111型装置が導入される予定がある。そのため放射光施設でのAE測定実験はD-DIA型およびD-111型装置ともにSPring-8で行うことを検討している。AE測定に必要な直流加熱電源や高周波測定の周辺機器などを一カ所に集約した方が、予算およびビームタイムを効率よく利用できるためである。今年度はポストスピネル相転移についても新たに変形相転移実験を開始するなど、その他の研究計画については当初の予定通りに進める。
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Research Products
(20 results)
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[Presentation] Stable fault slip in antigorite-olivine aggregates at high pressures2019
Author(s)
Ikeahara, M., Kubo, T., Iwasato, T., Higo, Y., Imamura, M., Tange, Y.
Organizer
Japan Geoscience Union meeting 2019
Int'l Joint Research
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[Presentation] In-situ X-ray observations of the olivine-spinel transformation under shear deformation: preliminary results on the reaction-induced weakening2019
Author(s)
Kubo, T., Moriyama, K., Mori, Y., Imamura, M., Koizumi, S., Nishihara, Y., Suzuki, A. and Higo, Y.
Organizer
Japan Geoscience Union meeting 2019
Int'l Joint Research
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