2019 Fiscal Year Annual Research Report
Neural mechanisms for integration of sensory information and decision making in the higher brain centers of Drosophila
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18J00091
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
木矢 星歌 金沢大学, 理工研究域生命理工学系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 神経科学 / 即初期遺伝子 / 性行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ショウジョウバエの性行動をモデルとして、感覚情報を統合し行動を決定する脳高次中枢神経機構を明らかにする目的で行っている。昨年度までの研究で、私は神経活動依存的に発現する即初期遺伝子を利用して、昆虫で活動依存的に神経細胞をラベルする手法を開発した(Takayanagi-Kiya and Kiya, PNAS,2019)。また、この手法を用いて、雄の脳高次中枢で性行動中に活動する神経としてaSP2 神経群を新たに同定し、その活動が求愛行動の持続と迅速な交尾遂行に必要であることを見いだした。現在は、aSP2 神経が求愛行動中にどのように活動し、性行動の制御において具体的に何の役割を担っているかを明らかにすることで、高次中枢における行動制御機構の一端を解明することを目指している。 今年度中の研究で、私はaSP2神経の活動をリアルタイムで検出し解析するカルシウムイメージングを行う為の準備を行った。具体的には、カルシウムインジケーターをaSP2神経特異的に発現させる為のトランスジェニックショウジョウバエ系統をSplit-GAL4システムを用いて作出し、その有用性を検討した。また、所属研究室でイメージングを行うための顕微鏡セットアップを構築した。今後、雄に感覚刺激(雌の性フェロモン刺激)を与えた際のaSP2 神経の反応を解析する予定である。その際、aSP2神経が多種の感覚情報を統合しているのではないかという仮説を検証するため、嗅覚・味覚の刺激を別個に与えた場合と、同時に与えた場合で神経活動がどのように変化するかを詳細に解析する。さらに、aSP2神経が、性行動を直接制御するP1神経の活動に影響するかを調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
カルシウムイメージング解析の準備に予想以上の時間がかかったため、一部の実験を2020年度に行うこととした。このことから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.感覚入力に対するaSP2神経の応答の解析 aSP2神経が多種の感覚情報をどのように受容・統合しているかを、感覚入力に対する神経活動を調べることにより明らかにする。雄のaSP2神経にカルシウムインジケーターGCaMPを発現させ、半拘束状態の雄に雌個体や雌の性フェロモンを提示した際の神経活動を解析する。特に、嗅覚と味覚の刺激を同時に、あるいは別個に与えた際に、神経活動がどのように変化するかに着目する。また、雄の足の動きを観察することにより、感覚刺激とaSP2神経の活動、雄が雌へ近寄る行動との関連を解析する。 2.aSP2神経による、P1神経の活動制御の解析 過去の解剖学的解析より、aSP2神経は性行動を制御するコマンドニューロンであるP1神経近傍に投射している。また、aP2神経はグルタミン酸トランスポーター(vGlut)を発現するグルタミン酸作動性神経であることが分かっている。そこで、aSP2神経によるP1の神経活動制御について調べる。具体的には、まずaSP2神経特異的にvGlutのRNAiノックダウンを行い、グルタミン酸シグナル伝達を阻害した際に、雄の性行動に異常が見られるかを調べる。さらに、aSP2神経を人為的に活性化させた際に、P1神経の活動が変化するかをカルシウムイメージングにより解析する。
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Research Products
(1 results)