2019 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性ナノダイヤモンドによる細胞内温度計測及び局所加熱プローブの開発とその応用
Project/Area Number |
18J00287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
外間 進悟 大阪大学, 蛋白質研究所, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ナノダイヤモンド / 温度計測 / 窒素空孔中心 / 磁気共鳴 / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノサイズの温度計として機能する蛍光性ナノダイヤモンド(FND)の表面を、発熱性ポリマーであるポリドーパミン(PDA)でコーティングすることにより、ナノスケールの加熱/温度計測を同時に達成できるハイブリッドシステム(FND-PDA)の開発を行った。FND-PDAは、一般的にFNDの励起に用いられる波長の光(532 nm)で発熱し、その発熱はFNDから発せられる光検出磁気共鳴信号によって、1度以下の精度で計測可能であることを示した。またPDAコーティングの厚みや励起するレーザー光の強度をコントロールすることによって、その発熱を精密にコントロールできることを示した。また、FND-PDAは細胞に対してほとんど毒性を示さず、細胞に取り込まれた後はそのほとんどがリソソームに局在していることを共焦点顕微鏡より確認した。 次にFND-PDAを用いて細胞内の熱伝導計測を行った。FND-PDAの温度上昇は、外環境に依存して顕著に異なることから、周辺ナノ領域の熱伝導率計測に応用できる。本研究ではまず、すでに熱伝導率が知られている空気、水、オイルにおいて本手法を応用したところ、報告されている値を再現よく示したことから本手法の妥当性を確認した。次に、FND-PDAをHeLa細胞内に導入し、細胞内局所の熱伝導計測を行った。その結果、細胞の熱伝導率は0.11 Wm-1K-1を中心に非常に大きなばらつきを持つことが明らかとなった。これまで、細胞の熱伝導率は水と同程度(0.6 Wm-1K-1)で均一であると考えられていたが、微小領域では異なる値や分布を有するという新たな知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に開発したODMRシステムを用いて細胞応用までを達成し、ナノ領域の熱伝導について新たな知見を得るまでに至った。現在論文を執筆中であり、計画以上の進展があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
FND-PDAの表面を精密に加工する技術の開発をすすめ、細胞内の局所に集積させる技術の開発を行い、熱を加えた際の細胞全体の応答を明らかにする研究に取り組む。
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Research Products
(4 results)