2018 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアトランスロケーターSAM複合体の構造・機能研究
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18J00358
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
竹田 弘法 京都産業大学, 総合生命科学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
ミトコンドリはATP産生・糖代謝・アポトーシスなど、細胞の生命維持活動に必須の細胞小器官である。ミトコンドリアが正常に機能するためには、サイトゾルで合成されたタンパク質がミトコンドリアに正しく配送されなければならない。このタンパク質の配送を行うのがトランスロケーターである。SAM複合体はミトコンドリア外膜に局在するトランスロケーターで、タンパク質をβバレル型になるように成形しながら、ミトコンドリア外膜へ挿入する。しかし、SAM複合体がどのような相互作用で形成され、どのようにタンパク質をミトコンドリア外膜へ挿入するのかは未だ不明である。そこで本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いて、SAM複合体の構造解析を行いその精密構造を明らかにする。続いて、決定された構造をもとに、ミトコンドリアインポートや平面膜法を用いた機能解析を行うことで、タンパク質挿入メカニズムを明らかにする。 まず、SAM複合体の構成タンパク質である Sam50/Sam35/Sam37 の遺伝子の上流にタンパク質大量発現用プロモーターであるGALを、Sam35 の上流にProteinAコード遺伝子を導入することにより、SAM複合体大量発現株を作成した。この酵母からミトコンドリアを回収し、Digitoninにより可溶化した。可溶化ミトコンドリアを用いてIgG精製・ゲル濾過を行ったところ、1 L 培地から200 ugのSAM複合体を精製することに成功した。次に、精製SAM複合体を試料として、クライオ電子顕微鏡による構造解析を行なった結果、分解能4.3 angstromで構造を決定することに成功した。 当初、クライオ電子顕微鏡を予定していたが、他大学の使用により使用困難となったため、未使用金が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、クライオ電子顕微鏡によるSAM複合体の精密構造の決定と、それに基づいたミトコンドリアインポート・平面膜法による機能解析で構成される。現時点で、クライオ電子顕微鏡によるSAM複合体の構造決定が完了し、現在、モデリングを行なっている状態である。これは当初の研究計画通りのペースであり、現行のモデリングが完了すれば、SAM複合体における各Samタンパク質の相互作用機序が明らかとなり、SAM複合体によるタンパク質挿入機構を見出すことができると考える。以上のことから、当該年度は順調に研究が進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られたSAM複合体の構造から、各Samタンパク質の相互作用部位を同定するとともに、タンパク質挿入がどのように行われるかを考察し、仮説を立てる。これらに基づいて、ミトコンドリアインポートや平面膜法などの機能解析を行うことで、仮説の妥当性を検証するとともに、SAM複合体によるタンパク質挿入機構の詳細を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)