2019 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアトランスロケーターSAM複合体の構造・機能研究
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18J00358
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
竹田 弘法 京都産業大学, 生命科学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / トランスロケーター / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミトコンドリアトランスロケーターSAM complex のクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析 (東京大学吉川研究室との共同研究) をテーマとしている。2018 年度では、SAM complex を酵母のミトコンドリアから大量精製することに成功し、さらにクライオ電子顕微鏡を用いて分解能 4.5 angstrom にて構造を得ることができたが、モデリングに十分ではなかった。 2019 年度では、分解能の向上に向けて様々な条件検討を行った。具体的には、grid 角度の検証、Fab 抗体結合型 SAM complex の調製 (千葉大学村田研究室との共同研究)、Au coating grid への変更 (東京大学濡木研究室との共同研究) などである。その結果、Au coating grid により分解能が 2.9 angstrom まで向上し、モデリングが完了するに至った。SAM complex は β-barrel 膜タンパク質の膜組み込みを担っており、特に Sam50 はバクテリアから高等生物にかけて広く保存されている。本構造から、Sam50 が lateral open state をとり、β-barrel 膜タンパク質と結合しやすい構造を形成していたことがわかった。現在、SAM complex のクライオ構造を元に、論文を作成している。 本年度は研究のさらなる推進 (クライオ電子顕微鏡の使用) を目的に、前倒し支払い申請を行っていたが、想定よりも早くデータを収集することができたため、未使用金が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019 年度はSAM complex の構造を決定するに至り、本研究を大きく前進させることができた。現在、機能解析を行っており (フライブルク大学 Pfanner 研究室との共同研究)、近く、論文を投稿する予定である。そのため、当初の研究計画よりもスピーディーに研究を進められたと考える。以上のことを踏まえて、2019 年度は当初の計画以上に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、機能解析 (フライブルク大学 Pfanner 研究室との共同研究) を残してはいるものの、順調に進展しており、論文投稿を目指している。そのため、ほとんど2019 年度で研究目的が達成されたと言える。そこで、新たな研究テーマとして、ミトコンドリアに局在する PORIN complex の構造研究を行う。PORIN complex は、ミトコンドリアとサイトゾル間での ATP やアセチル CoA などの代謝物質や Ca などの金属イオンの輸送に重要である。準備状況として、酵母のミトコンドリアから 2 種類の PORIN complex を精製することに成功し、クライオ測定では、3 pore と 6 pore の構造体を観察することに成功している。今後は、分解能の向上を目指して条件検討を進めていく。
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Research Products
(2 results)