2018 Fiscal Year Annual Research Report
背景事象フリーな次世代型TPC検出器によるマヨラナニュートリノ探索
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18J00365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小原 脩平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊 / ガス検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
キセノンガス約10kgを使用する大きさのプロトタイプ検出器について, 設計と建設を行った. このプロトタイプ検出器では, 現行のプロトタイプ検出器ではサイズが小さいために評価できていなかった, Q値付近でのエネルギー分解能評価および飛跡取得を行うことを目的としている. 設計においては, 今後の拡張性を加味して飛跡検出面を複数個に分割した構造にし, またそれに対応するように信号読み出し用のケーブルの設計も行った. 信号読み出しケーブルには Frexible Print Cable を採用することでこれまでよりも高密度/省スペースに信号読み出しできるようになった. 現在はこのうち1分割分のみをまず組み立て設置し, 実際に1光子波形を取得することに成功した. また検出器中で発生するXe+イオンも電子と共に飛跡取得できると, 背景事象除去に使える情報が増えるため, 純キセノンガスTPC環境下での, 二次電子を用いたXe+イオン検出についても挑戦している. 現在は参考文献にあるXe+のドリフト速度に対応するタイミングで信号数が増えていることが見受けられ, Xe+イオンの飛跡利用の可能性を示唆している. PolyethyleneNaphthalateを用いた容器開発については, 小型の球形状を成形することに成功し, 原理的に使用できることを示したが, 本研究で用いる純キセノンガスのTPCに対してはアウトガスが懸念材料となるため, その評価検証が課題である. 別素材での可能性についても検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では, 着任時点で10kgキセノンガス用の検出器が完成・運転開始済みであったが, 実際にはまだ設計がなされていなかった. 本年度は申請者がこの設計を強く推進し, 1年で1光子測定まで進めることができた. やや遅れ気味からのスタートではあったものの, その進展スピードはかなり速く進められている. 上記設計建設の他にもイオン検出等の新しいアイデアについての研究も平行して進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
少しずつ拡張しながらキセノンガス10kg使用のプロトタイプ圧力容器の建設を行う. 完成後, 本プロトタイプの主目的としているQ値でのエネルギー分解能の評価および飛跡取得を行う. 将来の地下実験に向けた素材選定や設計に関わる重要項目であるため, 本プロトタイプの理解を進める. また外部検出器としての水チェレンコフ光検出器や液体シンチレータ検出器の可能性について検討を行う.
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Research Products
(5 results)