2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of arithmetic duality using the rational etale site
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18J00415
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 貴士 中央大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 数論的双対性 / 有理エタールサイト / Abel多様体 / BSD予想 / 高次元類体論 / Neronモデル / p進隣接サイクル / Weilエタールコホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,私の構築した道具「有理エタールサイト」を用いて,様々な数論的不変量に幾何的構造を導入し,その双対性についての新結果を挙げ,その応用を得た.具体的には以下の(1)-(5)であり,それぞれ論文として発表されている.(1)取組中であった,関数体上のAbel多様体のNeronモデル係数コホモロジーの双対性を完成させた.これはCassels-Tateペアリングの幾何的拡張であり,高さペアリングの非退化性をその一部として含む.またNeronモデル係数Weilエタールコホモロジーという新しい対象を導入し,その双対性を確立した.(2)Geisser氏と共同研究を行い,関数体上のAbel多様体のL関数のBSD公式のWeilエタール版を得た.L関数の特殊値は数論の重要なテーマである.この公式は(1)における幾何的理論の数論的応用となっている.(3)1モチーフのNeronモデルとその双対性を確立した.これはAbel多様体のNeronモデルの理論及びGrothendieckの双対性予想の一般化である.Grothendieckにより構想された,一般のモチーフのNeronモデルの理論の一部を実現するものである.(4)加藤氏と共同研究を行い,p進隣接サイクルの双対性を確立した.これはSerre-Hazewinkelの局所類体論を,剰余体非完全な完備離散付値環上の滑らかなスキームに拡張するものであり,高次元局所類体論の相対版になっている.(5)以上の研究において,有理エタールサイトを利用するに当たっては,特殊なArtin近似的議論が必須であった.これを改良し,標準的な近似論だけで利用可能な有理エタールサイトの変種を構築し,基本的性質を確立した.これにより有理エタールサイトはより扱いやすくなり,応用可能性が広がった.この改良は今後,2次元局所環の双対性へ応用する事が予定されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,当該年度は,Neronモデル係数コホモロジーの双対性と1モチーフのNeronモデルの二つのプロジェクトで終わる予定であったが,更に3プロジェクトも追加でこなす事が出来た.内訳としては,予定外の共同研究が二つ,更に次年度のプロジェクトの準備のプロジェクトまで手掛けて完成出来た.論文は5本発表でき,うち二つは論文誌掲載許可まで漕ぎ着け,残り三つも論文誌投稿済みである.更に「今後の研究の推進方策」で詳述するが,別途共同研究が三つ進行中であり,うち二つは半分強まで論文執筆済みである.よって非常に良く進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)昨年度研究したNeronモデル係数コホモロジーは,関数体上のAbel多様体の岩澤理論に応用出来る事が判明している.これはLai, Longhi, Tan, Trihanの4氏との共同研究である.論文はほぼ書き上がっているので,完成を目指す.(2)昨年度訪問したイタリア・パドヴァ大のBertapelle氏とは,剰余非完全のGreenberg変換の共同研究が進行中で,理論の基礎的部分が書き上がった段階である.応用として,代数的トーラスの特殊ファイバーの双対性を共同研究中である.これは加藤氏との共同研究の結果の応用となる.鍵となる構成「標準持ち上げ」は扱いが難しいのだが,ここで有理エタールサイトの考え方が利用可能とみており,詳細を詰めている最中である.(3)Geisser氏との共同研究は継続中で,昨年度得たAbel多様体のWeilエタールBSD公式は,更に1モチーフに拡張可能と判明し,論文構想中である.これは昨年度の別のプロジェクト,1モチーフのNeronモデルの理論の応用となる.まず1モチーフのNeronモデルとその双対性を,大域化可能な形に改良する.また小野の玉河数公式をトーラスのWeilエタールコホモロジーで書き直す.最後にAbel多様体の場合と組み合わせて,1モチーフのWeilエタールBSD公式を得る.(4)昨年度行った,有理エタールサイトの改良に基づき,2次元局所環の双対性を確立する.特異点の無い場合の扱いはほぼ判明しており,特異点の扱いが焦点となる.斎藤による剰余有限の場合では,特異点解消に対してイデール群構成を適用しているので,この部分を有理エタールサイトの枠組みに乗せれば良い筈である.(5)ニセコとドイツのOberwolfachでの国際研究集会に招待されているので,そこで講演及び参加者との議論により,有理エタールサイトの有用性を訴える.
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Remarks |
国外セミナー発表:イタリア(パドヴァ大学),Algebraic Geometry and Number Theory Seminars. Title: "Duality for cohomology of local fields and curves with coefficients in abelian varieties", 2018年10月18日
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Research Products
(10 results)