2018 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームRNA遺伝子をプラスミドだけで維持する細菌の進化
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18J00444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
按田 瑞恵 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD) (60759455)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | プラスミド / 染色体 / バクテリア / ゲノム / rRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリアのrRNAオペロンは、ゲノムで最大のレプリコンである主染色体に存在することが常識とされてきた。近年我々は、そうした従来の常識に従わないバクテリア、すなわち、rRNAオペロンを主染色体に持たずに高コピープラスミド上にのみ持つバクテリアとして、プロテオバクテリア門Aureimonas ureilyticaを発見した。本研究は、rRNAオペロンの主染色体上からの欠失が(1)どの程度一般的な現象なのか、(2)どのようなメカニズムで起こったのか明らかにすることを目的としている。今年度は(1)に向けて、ドラフトゲノムを含むゲノムデータベースから、rRNAオペロンの存在するプラスミド配列を調べるバイオインフォマティクス解析を行うことで、rRNAオペロンが主染色体に存在しないゲノムの発見を目指した。この結果、スピロヘータ門とバクテロイデス門から候補を1種ずつ得ることができた。候補株と近縁株を培養しPacBio RSIIでゲノムシークエンスを行ったところ、候補株とバクテロイデス門の近縁株において、8-31 kbのプラスミドだけに1-3コピーのrRNAオペロンが存在することを明らかにした。25 kbを超えるプラスミドには分配装置をコードするparAB遺伝子が存在し、遺伝子組成や分配機構が予想以上に多様であったが、プラスミド型複製開始タンパク質は同一のファミリーに属することを見出した。本研究の成果は、バクテリアのゲノム構成に関する基礎知識の刷新に繋がるものであり、国内の学会において発表し、現在原著論文を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度に掲げていた目標を達成しただけでなく、第2・3年度目に掲げた目標に対しても貢献する成果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
rRNAオペロンが存在するプラスミドのコピー数を定量する。近縁株との比較ゲノム解析を行い、rRNAオペロンをプラスミドだけで維持するバクテリアに共通して増減している遺伝子を探索する。
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Research Products
(4 results)