2018 Fiscal Year Annual Research Report
衛星観測データと数値モデルを用いた全球陸域土砂動態の解明
Project/Area Number |
18J00585
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳩野 美佐子 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 全球土砂動態 / 数値モデル / 衛星観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球物質循環において土砂は非常に大きな役割を担っている。土砂に関する観測データは全球スケールでは不足していると言われており、衛星観測を駆使することにより高解像度かつ広域で土砂濃度のモニタリングが可能になると考えられる。本研究では筆者がこれまで開発してきた全球土砂動態モデルと衛星観測などのリモートセンシング技術を用いて全球スケールでの土砂動態の解明を目的としている。当該年度において、まず全球土砂動態モデルについてアマゾン川流域を対象にパラメタ調整による精度向上を実施した。2月から4月にかけてアマゾン川流域は洪水期となり、上流域に位置するアンデス山脈から大量の土砂が下流へと輸送される。これまでは年間を通して非常に緩やかな季節変動を示していたが、降水量が多く河川が増水する時期の土砂生産量や巻上量を増やすようにパラメタ調整を行うことにより、洪水期に突出した鋭い季節変動を示すようになり、特にObidos観測地点では季節変動や変動幅をよく再現できるようになった。 これらの改良されたモデル出力を用いて衛星観測データと合わせて土砂濃度推定を実施した。具体的には、衛星画像のあるピクセルとそれが含まれるモデル格子の土砂濃度を用いて回帰分析を行い、衛星画像の反射率を土砂濃度へと変換した。衛星観測データとしてはMODISのMOD09GQ(日単位、250m解像度)を使用し、土砂動態モデルの空間解像度は0.5度である。結果として、土砂動態モデルの解像度が非常に粗いにも関わらず、衛星観測とモデルを用いた推定結果は地上観測の季節変動をよくとらえられている。本年度はObidos観測所を中心に推定を行ったが、今後はAmazon川流域全体などより広い範囲に同様の手法を適用し、高解像度土砂濃度マップの作製を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全球土砂動態モデルの改良及び衛星観測データを用いた高解像度土砂濃度推定に関して、順調に研究を進めている。改良されたモデルにより、海洋へ多くの土砂が輸送されるアマゾン川流域の主要観測所で土砂輸送量の季節変動をよく捉えられており、さらに衛星観測との組み合わせによって土砂濃度の季節変動も捉えることができた。現在これらの結果をまとめた論文を執筆中であり、さらに関連する研究についても執筆中である。以上のことより、今年度は大きな進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から引き続き、土砂動態モデルと衛星観測データの組み合わせによる全球土砂濃度の推定を進めると同時に、これまで開発してきた土砂動態モデルの改良にも取り組む。昨年度では主にアマゾン川流域のObidos観測所を中心に手法の開発を行ったが、今後はアマゾン川流域全体及び他流域にも適用し精度検証を行う。土砂動態モデルの改良に関しては感度実験により土砂輸送量に大きく影響を与えるとわかっている陸域での土砂生産過程の改良を試みる。これらの得られた結果をとりまとめ、学会発表及び論文投稿を行う。
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Research Products
(2 results)