2018 Fiscal Year Annual Research Report
体内物質のセンサーとして働く昆虫味覚受容体の生理的役割の解析
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18J00733
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 悠 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD) (50837474)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 昆虫 / 味覚受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫の味覚受容体(Gustatory receptor, Gr)は,口器だけでなく,脂肪体や血球など全身のあらゆる組織において発現している.すなわち味覚受容体は単なるエサの味を認識する受容体としての機能にとどまらず、体内組織において体液中の栄養分などを認識するセンサーとして働くことが期待される.しかし,このような体内環境をモニターする味覚受容体の具体的な生理的機能はほとんど明らかになっていない.本研究課題はの目的は,昆虫の体内組織のいたるところに発現するGrが,体内環境の変動を感じるセンサー分子としてどのような内分泌的制御・行動制御を果たしているのかを明らかにすることである.本年度は,以下について解析を行った. 1.培養細胞を用いたカルシウムイメージング法によってカイコ由来のいくつかのGrについてリガンドを同定した.これらの結果について国際会議で発表した.in vitroにおいて複数のリガンドが見出されたGrについては,今後in vivoにおいて真に意味をもつリガンドを絞り込む必要がある.現在,これに関連する解析を行っている. 2.体内組織におけるGr発現細胞は,ペプチドホルモンを共発現する場合が多い.そのため,Grのリガンド受容の下流では,ペプチドホルモンを介した生理的調節が働く可能性がある.これをカイコとキイロショウジョウバエを用いて検証しようと試みている.これについては現在,実験系の構築中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リガンド同定系は立ち上がったものの,ペプチドホルモンに関するアッセイ系の確立に遅れが生じているため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.カイコのGrノックアウト個体の作出を進めている.今後この個体を用いて栄養センシングに関連する表現型を解析することで,Grの役割を推定する. 2.Grとペプチドホルモンの連携の有無を直接的に明らかにするためには,ホルモン分泌の検出系を確立する必要があるが,捗っていない.この系を確立し,最終的にはGrリガンドのインプットから内分泌を介した制御まで,栄養センシングが果たす生理的役割の全体像解明を目指す.
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