2019 Fiscal Year Annual Research Report
土・水環境技術の高度化に向けたコロイドおよびナノバブルの移動現象の解明
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18J00823
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉本 卓也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | コロイド / ナノバブル / 沈着 / 移流分散方程式 / 界面電気現象 / 不飽和条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,共存する有機コロイドの影響に焦点を絞り,土壌中におけるコロイドおよびナノバブルの移動現象を明らかにすることを目的とする.採用次年度である当該年度は,昨年度から引き続いて,多孔質体中のコロイド粒子の沈着が微細な気泡であるナノバブルの輸送動態に与える影響を検討するために,実験および得られた結果のモデル解析に取り組んだ.また,年度後半は,申請時の計画から変更し,若手研究者交流事業の支援の下,ローザンヌ大学 de Anna助教の下でマイクロ流路を用いた多孔質体中のコロイド移動の直接観察に関する研究を開始した.当該年度の研究成果は,以下の通りである.
近年,直径 200 nm 程度の微細な気泡であるナノバブルの土壌への適用可能性が議論されている.ナノバブルは比表面積が大きく表面が負に帯電しており,汚染物質等の吸着能が高いと考えられている.そのため,ナノバブルによる汚染土壌浄化作用が期待されている.一方で,ナノバブルの土壌への注入を実施する上で,土壌中に存在している多数のコロイド粒子がナノバブルの土壌中での輸送挙動に与える影響を検討する必要がある.昨年度から実施してきた充填カラムへのコロイド粒子およびナノバブルを交互に通水する実験結果に対して,移流分散モデルに基づく解析を行った.その結果,コロイド粒子が沈着した場合にナノバブルの移動が阻害されるという結果が,ナノバブルの充填試料への沈着速度の増大として表現できることが示された. ローザンヌ大学 de Anna 助教との共同研究では,多孔質構造を有するマイクロ流路内に気泡を注入して不飽和条件を作成し,画像解析により飽和度を算出する手法を開発した.現在,同実験系において,コロイド粒子を注入した移動実験に着手している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル土壌におけるコロイドおよびナノバブルの移動現象に関する実験およびモデル解析に取り組めている.着実にデータが蓄積されていること,モデルによる解析が進展している.また,ローザンヌ大学での研究についても,COVID-19による影響で遅延してはいるが,コロイド輸送実験を開始できている.以上から,研究課題の遂行は,順調に進んでいると評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度は,当該年度の研究成果をとりまとめ,投稿論文といった成果物として発表していく.また,前半は申請時の計画から変更し,ローザンヌ大学 de Anna 助教の協力の下,マイクロ流路を用いた直接観察技術に基づく気泡の存在下での多孔質体中におけるコロイド移動に関する研究に取り組む.
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Research Products
(7 results)