2019 Fiscal Year Annual Research Report
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18J00982
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
広瀬 稔 九州大学, 数理学研究院, 特別研究員(PD) (70773969)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 整数論 / 多重ゼータ / 反復積分 / Euler和 / モジュラー形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度からの佐藤氏との共同研究である、Euler和と呼ばれる符号付多重ゼータ値の研究を更に推し進めた。具体的には、全てのEuler和がDeligne基底の有理数線形和となることを、具体的な関係式族である合流関係式を用いて証明した。また、それによりEuler和の空間の次元の上限について、モチーフの理論を用いない証明を与えることができた。また、合流関係式のGoncharov余積を詳しく調べることにより合流関係式がモチビックなEuler和にまで延長されることも証明した。これにより、Z[1/2]上のモチビックGalois群の作用によって得られるP1-{0,±1,∞}のモチビック基本群の自己同型全体の集合の具体的な表示を得た。またこれらの成果を、広島仙台整数論集会、Japan-Taiwan joint workshop on multiple zeta values、および第13回多重ゼータ研究会で発表した。 また、佐藤氏との共同研究で、前年度から取り組んできたプロジェクトである、Zagierの2-3-2公式およびZhaoの多変数化に成功した。この多変数化に到達するのに時間を要した最大の理由は、このような多変数化が射影直線上の有理的とは限らないような代数的微分形式の反復積分という枠組みの上に存在していたという点が挙げられる。また、これを更に一般化して、反復ベータ積分と呼ぶべき対象の間の等式に一般化した。また、これらの成果を第13回福岡数論研究集会で発表した。 また佐藤氏との共同研究で巡回和公式とループ上の反復積分の関係を明らかにした。 また前年度に行ったmodular formと二重ゼータ値の研究を更に推し進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Euler和の空間の次元の上限のモチーフの理論を用いない評価、モチビックGalois群から得られるモチビック基本群の自己同型の決定、Zagierの2-3-2公式およびZhaoの多変数化、正規化二重ゼータ値の関係式属の研究など、想定以上に多くの重要な成果を得ることができた。よって当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、周囲の研究者と密に連携を取りながら、研究を進める。また、研究内容について現在予想していない方向性の発見があった場合は、より重要と判断できるものを優先して研究を進める。
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