2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J00997
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
五十嵐 歩美 九州大学, システム情報科学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 提携形成問題 / ゲーム理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
提携形成ゲーム理論の研究:提携形成ゲームとは, 各プレイヤーがプレイヤーの組合せに対して選考順序を持つときに, どのように各プレイヤーを異なるグループ (提携) に分ければよいかを考える問題である. 安定マッチング問題や, グループに対する最適なタスク割当などを含む広い応用を持つモデルである. しかし, 実際の問題では, プレイヤーの選好順序などの情報が部分的にしかわからないなど, 不確実性を伴う場合が多々ある. 該当研究課題では, そのような不確実性下における適切なメカニズム設計を目指しており, 着実に成果を挙げつつある. 伝統的な学習理論の一つProbably Approximately Correctly learnable (PAC 学習) の理論を提携形成ゲームに適用し, 部分的な選好順序に関する情報から, 安定解などの望ましい解を効率的に学習することが可能であるかを明らかにした. 上記の研究成果は, AAAI 2019に採択が決定された. さらに, 突然のプレイヤーの不参加などのシステムの突然の変化に対して頑健な制度設計に成功し, この成果は国際会議AAMAS2019にショートペーパーとして出版予定である.
公平分担理論の研究:公平分担理論とは,「公平な資源配分メカニズム」を数理的に研究する学問領域である. 具体的には, 異なる選好を持つ人々にどのように複数の財を公平に分担するかを考える. 当該研究者らは, パス上の連結制約下の公平分担問題に対して, 近似的な公平性の概念であるEF1を満たす分担方法が存在するための様々な十分条件を明らかにし, それぞれの場合に対して解を計算するための効率的なアルゴリズムを与えた. また, 2人プレイヤーの公平分担において, グラフがEF1の存在を保証するための完全な特徴づけを与えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度において以下の研究に取り組み,期待以上の進展を得ている. (1) 提携形成ゲームに関して,伝統的な学習理論の一つProbably Approximately Correctly learnable (PAC 学習) の理論を提携形成ゲームに適用した論文が人工知能分野の最難関国際会議であるAAAI2019に採択されている. また,プレイヤーが単峰性を満たす選好順序を持つゲームにおける安定解の存在条件を明らかにした論文は, エージェント分野の最難関国際会議であるAAMAS2019にフルペーパーとして採択されている. (2) 連結制約下の公平分担問題に関して, パレート効率性について考察した論文がAAAI2019に採択されている. また近似的な公平性の存在条件を明らかにした論文が, 理論計算機科学の国際会議ITCS2019に採択されている. (3) コーダルグラフなどにおける, 有向グラフのカーネルの多項式時間可解性に関する論文が国際論文誌Discrete Applied Mathematicsに受理されている.
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Strategy for Future Research Activity |
全体を統括する意思決定者かいない場合のプレイヤーの学習過程について考察する。具体的には、プレイヤー自らが学習し、安定な解にたどり着くような自然な学習過程はあるか、また、そのような過程において、解に収束するためにどの程度 時間がかかるかを解析する。本研究では、具体的な例として、木上の提携形成ゲームにおける個人安定性を考える。プレイヤーが各ステップで最も好ましい提携に移動する学習過程(最適反応ダイナミクス)を考え、個人安定解に到達するかどうかを明らかにする。さら に人為データに対して、シミュレーションを行い、収束速度について分析する。
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