2018 Fiscal Year Annual Research Report
台湾産マンネングサ属の平行適応放散をモデルにした網羅的な適応進化プロセスの検証
Project/Area Number |
18J01069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊東 拓朗 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 適応放散 / 適応進化 / 平行進化 / 台湾 / 高山 / 系統地理 / ゲノム / CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
ベンケイソウ科マンネングサ属は東アジア地域を一つの多様性の中心に持ち,中でも大陸島台湾の高地環境おいて,劇的に異なる光・水分環境に進出し,種多様化を遂げている.これまでの申請者の研究から,台湾固有のマンネングサ属種は2系統存在し,各系統で異なる光・水分環境に生育する種が急速に進化し,かつ2系統で独立して類似生態シフトと適応形質(葉形態及び光合成特性)を獲得した急速な種多様化(平行適応放散)を遂げていたことが明らかになっている.しかしながらその種分化や適応放散プロセスの解明には至っていないため,本研究では当該種群をモデルとした,網羅的な環境-形態-生理-ゲノムデータに基づく非生物環境への適応放散/進化メカニズムの解明を目的として研究を進めている. 生育環境の評価については,各種について通年で温度,湿度,照度計を設置し環境データを収集しており,各生育環境の評価ができつつある.また新たな適応形質の探索として,化学成分分析や根形態の調査等を行っており,各環境ごとに一定の傾向がみられ,適応形質である可能性がある.そしてゲノム解析について,現在1種についてゲノム解読を進めており,完成次第他種についてリシーケンスを進め,集団動態解析や自然選択を受けた遺伝子座の検出などを試みる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種の生育環境の環境特性が明らかになりつつある.適応形質について,これまで調査してきた葉形態や光合成様式に加え,化学成分もまた環境特異的な成分を有している傾向があり,適応形質である可能性がある.ゲノム解析については台湾産種1種について,ロングリード及びショートリードシーケンスを組み合わせたリファレンスゲノムを構築中である.
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Strategy for Future Research Activity |
他3種をめどにゲノムリシーケンスを予定しており,各種の集団動態推定等を行う予定である.生育環境の評価については,引き続き環境データの取得を続け,ゲノム,環境,適応形質データを集積することで平行適応放散の進化要因を検証していく予定である.
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Research Products
(10 results)