2018 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症モデルマウスを用いた触覚過敏に起因する社会コミュニケーション困難の解明
Project/Area Number |
18J01787
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
渥美 剛史 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 自閉症 / 社会的認知 / 感覚過敏 / モデルマウス / GABA / 時間分解能 / MRS |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、自閉症スペクトラム障害(ASD)における感覚処理の異常と社会コミュニケーション障害との関連が注目されてきており、またその感覚処理障害には、GABA作動性神経の機能不全の関与が指摘されている。ASD中核症状の神経科学的な背景の解明には、モデル動物での実験と当事者における検討のそれぞれが重要である。 研究初年度では、マウスにおける他個体による社会的刺激への感受性を解析し、野生型マウスは身体動作映像を自発的に弁別する行動を示すことを明らかにした。さらに自閉症モデルマウスではこうした弁別が生じないことも見出しており、モデルマウスでの社会的認知の解析手法開発の足がかりとして、本研究知見は有用であると考えられる。 ASD者における感覚過敏の認知的な背景として、報告者らは、刺激の時間処理精度の向上が関与していることを提案してきた。時間処理の向上には、GABA作動性神経活動の異常が関与していると考え、ASD者とモデル動物の双方から検証を行っている。マウスを用いた研究では、心理物理課題を用い、GABA受容体拮抗薬の投与が刺激の時間分解能に与える影響を検討した。その結果、拮抗薬の投与により時間分解能の向上がみられた。またASD者での研究では、プロトン磁気共鳴スペクトロスコピー(1H-MRS)解析を導入し、刺激の時間的処理に関与する脳部位のGABA濃度と感覚過敏との関連を検討した。解析の結果、左腹側運動前野におけるGABA濃度が低いほど、感覚過敏の重症度が高い傾向にあった。これら動物実験と当事者での解析結果は、GABA作動性神経活動が刺激の時間的処理と感覚過敏の両方に関与することを示唆するものである。 マウスにおける他個体の社会的刺激への感受性についての研究知見は、国際誌において掲載された。またASD者におけるGABA濃度と感覚過敏との関連を示した研究は、国際学会において報告している。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Remarks |
上記2件の一般公開イベントで、研究のアウトリーチを行った。
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Research Products
(6 results)