2019 Fiscal Year Annual Research Report
西洋古代末期における翻訳論の研究:ヒエロニュムスの論争を中心に
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18J01848
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 哲平 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD) (70839985)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ヒエロニュムス / ルフィヌス / 翻訳 / ギリシア教父文学 / オリゲネス / エウセビオス / 翻訳理論 / 翻訳実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、研究計画どおり一次文献および二次文献の精読を行った。聖書翻訳者としてのヒエロニュムスの翻訳論に関しては、『書簡57』、すなわち『翻訳の最高の種類について』が中心的に研究されてきた。しかし、当該年度は、ギリシア教父文学の翻訳者としての彼が論じている翻訳論を確認するために、エウセビオス『年代記』やオリゲネス『エゼキエル書序文』の翻訳者序文、いくつかの書簡(『書簡37』『書簡49』『書簡84』『書簡106』など)、『エフェソ書注解』、同じくギリシア教父文学の翻訳者だったルフィヌスの論駁書である『ルフィヌス駁論』などを参照した。こうした議論を分析した結果の一部については、次の諸論考にまとめた(2020年出版予定):Teppei Kato, "A Man of Three Languages: Jerome's Indebtedness to Jews and his Contribution to Jewish Studies," in Jewish Multilingualism in Late Antiquity and Early Middle Ages (working title), ed. Leonard V. Rutgers, Wout van Bekkum, and Constanza Cordoni (Cultural Interactions in the Mediterranean; Leiden: Brill, 2020), forthcoming; 加藤哲平「経典の「更新」としての翻訳:ギリシア語訳とラテン語訳聖書をめぐる諸問題から」『京都・宗教論叢』(京都・宗教系大学院連合)13号、2020年、出版予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画どおりに研究を進めることができた。学会発表だけでなく、アウトリーチ活動にも積極的に取り組んだ。古代の翻訳をテーマに学術大会シンポジウムを企画し、司会を務めて、これを成功させた。国際的な業績を含む8本もの論文を出版・出版決定に至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの影響により、海外に渡航して研究発表をしたり、資料を収集したりすることが困難なので、今後はこれまでに発表してきた論文をまとめることに専念する。これまでの論文をまとめたら、さらに各論的な論文を執筆して、単著として一冊の分量になるようにする。論文執筆の目処がついたら、Brill Academic PublishersやOxford University Press等の国際的な出版社に単著の出版を打診する。
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