2018 Fiscal Year Annual Research Report
光刺激で段階的に構造が変わる分子のデザイン・合成・分子マシンへの応用
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18J01852
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷岡 卓 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 近赤外色素 / 安定ラジカル / エレクトロクロミズム |
Outline of Annual Research Achievements |
多段階にマクロスケールの運動が可能な分子マシンの構築に向け,本年度はまず,その駆動要素となる一分子で段階的に分子構造を変化させることが可能な有機分子のデザインと新規合成法の開発に取り組んだ.その結果,高温の濃硫酸中で分子を脱水縮環させるという極めて簡便な合成方法で,分子の酸化状態に依存して光吸収波長が近赤外領域で二段階に変化するキノジメタン系分子を開発することに成功した.本分子は市販の化合物を濃硫酸中で加熱攪拌することで,ワンポットかつ中程度の収率(~30%)で合成が可能である.また,高いモル吸光係数(約10万)と近赤外色素としては中程度の蛍光量子収率(約5%)を有しており,近赤外色素として優れた光物性を有していることがわかった.さらに、本化合物は空気中でも安定な酸化型分子種であるラジカルカチオン(一電子酸化種)とジカチオン(二電子酸化種)を形成することもわかった.そこで,電気化学的な酸化により酸化型分子種を生成させてその物性を調べた結果,発色が二段階に変化するエレクトロクロミズム特性を示すことがわかった.また,本分子の高い安定性を生かし,有機半導体素子と光電変換素子にも応用し,有機電子デバイスとしても有用であることを明らかにした.本研究は学術論文にまとめ米国化学会の Journal of the American Chemical Society 誌に速報として発表した.このように本年度の研究により,多段階変化する分子マシンの開発に向けて有望な分子を得ることができた.
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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