2019 Fiscal Year Annual Research Report
Curvature Perturbations and Primordial Black Hole Formation in the Inflationary Universe
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18J01992
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
多田 祐一郎 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | インフレーション / ストカスティック形式 / 原始ブラックホール / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
咋年度は計3本の論文を発表した。1本目では同研究室の横山助教とともに多段階インフレーションにおける原始ブラックホール(PBH)形成について議論した。これまでの観測的制限を考慮するとPBHには大きく3つの動機が考えられる。1つはLIGO/Virgoで観測された重力波の波源となる30太陽質量程度のPBH、2つ目は10^(-12)太陽質量程度の非常に軽いPBHが十分量形成され暗黒物質(DM)の役割を果たす説、そして3つ目は昨年初めに提唱された、OGLEにより観測された天の川銀河でのマイクロレンズ現象が地球質量程度のPBHによるものでないかとする説である。我々はインフレーションが多段階起きたとするとこれら3つの質量領域のPBHを同時に、簡単に実現できることを明らかにした。またこのような多段階インフレーションは後述するように弦理論の沼地予想からも支持されることを指摘した。 2本目では東北大学の高橋教授、北嶋助教とともにヒルトップインフレーションにおいて、ポテンシャルの頂点をわずかに凹ませるとインフレーション時間が 巨大数的に長くなり、かつ量子ゆらぎにより凹みを抜けた後は通常のスローロールインフレーションにつながることを、ストカスティック形式を用いて定量的に示した。 3本目では同研究室博士課程1年目の小粥氏とともに、弦理論の沼地予想のもとで多段階インフレーションとスケール不変な初期ゆらぎの生成機構について研究 を行った。近年様々な沼地予想が提唱されているが、これらの多くはインフレーション機構と相性が悪い。これを深刻に捉え、多段階インフレーションならば沼地予想と矛盾しないことをまず指摘した。またゆらぎを作る場が他にいるとし、カーバトン機構や変調再加熱機構によってスケール不変なゆらぎを生成できるか議論した。 以上3つの研究については国内外の研究会で広く発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はフランスの共同研究者 Renaux-Petel 博士と Pinol 氏とともにストカスティック形式の共変性についての研究を完成する予定であったが、議論が難航しいまだ論文投稿には至っていない。しかしそのおかげでこれまで全く理解されていなかった一般的複数スカラーに対するストカスティック形式の定式化について深い理解が得られ、現在長編論文の完成が間近である。また本研究とは別に3本の論文を投稿することができ、また広く研究発表も行えた。現在も同研究室の学生らとともに初期宇宙の量子色力学 (QCD) 相転移時の2次重力波について、最終段階に向けた研究を行っており、これらを踏まえおおむね順調に研究は進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず上述した共変なストカスティック形式の定式化についての論文の完成を急ぐ。その後本定式化を数値計算コードに実装し、公開コードとして体裁を整え、論文とともに発表する。そして完成したコードを実際に具体的なインフレーション模型に適用し解析を行う。その際原始ブラックホール形成の可能性も共に調べる。また上述した QCD 相転移時の2次重力波について、まず重力波の周波数依存性を計算する研究を完成させる。その後実際の重力波観測計を考慮し、重力波周波数特性の観測可能性を議論する。
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Research Products
(15 results)