2019 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造制御による熱スピン変換複合バルク材料の創製
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18J02115
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
三浦 飛鳥 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点 スピンエネルギーグループ, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 熱電変換 / ナノ構造化 |
Outline of Annual Research Achievements |
異常エッチングスハウゼン効果(AEE)の原理解明および出力向上に向けて、サマリウムコバルト(SmCo)系材料におけるAEEの系統的な測定を行った。AEEとは、強磁性体において磁化と電流の方向に直交した方向に熱流が発生する現象である。今回使用したSmCo系材料は、磁気特性・耐熱性・耐食性に優れ、幅広い用途で使用が可能な永久磁石である。 本研究では、様々な組成を持つSmCo系材料に加え、一般的に永久磁石として使用されているネオジム(NdFeB)系材料や一般的な強磁性体金属であるニッケル(Ni)の室温でのAEEを測定した。その結果、中でもSmCo5系材料は大きなAEEを示し、その性能はほぼ組成に依存しないということを明らかにした。また、その性能は現在研究されている中で最も高い効率を持つ材料に匹敵することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノ構造化による熱スピン変換複合バルク材料の創製に関する実験は順調に進展しており成果も得られている。スピン駆動型熱電変換現象である異常エッチングスハウゼン効果の原理解明・出力向上に向けた、大きな異常エッチングスハウゼン効果を示す磁性材料に関しての研究を進め、国内学会での発表や学術論文発表を行った。 本年度に行った研究に基づいて方針を決定することで、次年度の研究をスムーズに進めることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノ構造化熱スピン変換複合バルク材料において変換効率の向上に向けた材料開発を行う.系統的に異種元素を置換した磁性体の表面に強磁性体金属薄膜を形成した後に焼結を行い,作製した複数の複合バルク試料に対して熱電変換性能の温度依存性の測定および比較を行う.磁性体および金属薄膜の合金化により,磁性体の熱伝導率の低減と磁化特性の改善,および金属薄膜での異常ネルンスト効果の活用を実現する.磁性体の合金化に際してもボールミル装置を用いる.ボールミル装置およびALD装置により磁性体および金属薄膜の合金化も容易に可能である.その他の手法に関してはこれまでに確立したナノ構造化複合バルク材料作製手法を用いる.以上のように,複合バルク化および異種元素置換を用いた合金化によりフォノン・電子・マグノン輸送の独立制御を行い,ナノ構造化熱スピン変換複合バルク材料の性能向上を目指す.
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Research Products
(4 results)