2019 Fiscal Year Annual Research Report
大腸がんリスク因子化合物コリバクチンの構造解明とその検出マーカーに関する研究
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18J02190
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
平山 裕一郎 静岡県立大学, 薬学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | コリバクチン / 大腸がん / 生合成 / 単離構造決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
2006年に腸内細菌叢を構成する一群の大腸菌が強い変異原性を有していることが報告された。これらの大腸菌はclb クラスタ-と呼ばれる生合成遺伝子群をコードしている。これらの遺伝子の破壊株は変異原性を失うことから、このクラスターによって生合成される化合物が遺伝毒性物質であると推定し、コリバクチンと呼称している。このコリバクチン生産菌を炎症モデルマウスに投与すると大腸がんが惹起されることや、英国の調査にて健常者の20%に対し、大腸がん患者の67%からコリバクチン生産菌が検出されたことから、コリバクチンは大腸がん発症に深く関与すると考えられている。しかし、コリバクチンそのものは単離できておらず、その化学構造は未解明であった。そのことが詳細な発がんメカニズムの解明、予防法の確立を困難にしていた。そこで本研究では、コリバクチンの化学構造の解明と、化学分析法の樹立を目的として研究を行った。 前年度にコリバクチン生産株の特定を可能にする分子プローブやLAMP法といった検出法を確立し、ヒト大腸がん組織より分離したコリバクチン高生産株Escherichia coli-50を見出した。この株50を用い、コリバクチンの生産に関わる種々の培養条件の検討を行った結果、天然物としてのコリバクチンそれ自体の類縁体を分離するに至った。今年度に入り複数のグループが有機合成的な手法によってコリバクチンの化学構造は明らかにしたが、天然物の単離アプローチによって得られるコリバクチンは未だ例がない。本研究で見いださいたコリバクチン類縁体の化学構造を明らかにし、なぜコリバクチンは微量にしか生産されていないのか、あるいは活性の示さない分子へと自発的に変換されるメカニズムの一部を見出した。これらの研究成果からDNA損傷による大腸がん発がんメカニズムの解明に大きく貢献できたと考えている。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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