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2018 Fiscal Year Annual Research Report

細胞運動時の細胞膜の動態制御機構

Research Project

Project/Area Number 18J10055
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

田中 真仁  山口大学, 創成科学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords細胞運動 / 細胞膜 / 細胞性粘菌
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、細胞運動時の膜動態制御の分子機構を明らかにすることを目的とする。平成30年度は、細胞運動時の細胞膜の供給と取り込みの可視化(研究1)と細胞膜にかかる張力が膜の輸送を制御するという仮説の検証(研究2)を実施し、以下の成果を得た。
〈研究1〉1.膜の供給の可視化プローブとして、膜の供給にかかわる複数の候補のタンパク質と蛍光タンパク質との融合タンパク質発現コンストラクトを作製し、一部のコンストラクトでは細胞への形質導入を行い、その融合タンパク質の発現にも成功した。2.完成した可視化プローブを発現した細胞を用いて、全反射蛍光顕微鏡で膜の供給と取り込みの瞬間の観察を行った。その結果、膜の供給が細胞の前方で起き、膜の取り込みが後方で起きているのを観察し、噴水型フローモデルを支持する結果となった。しかし、膜の取り込みに関しては、定量測定を行うことができたが、膜の供給に関しては、定量測定できる画像を取得ができていない。
〈研究2〉3.張力が膜の輸送を制御するという仮説の検証を行うために磁力でビーズを外から操作し細胞膜を押し出し人為的に張力の勾配を発生させる装置の作成を行い、細胞内に取り込まれたビーズを操作して細胞膜を押し出せるのか試みた。その結果、磁力でビーズを引っ張ると、細胞内のビーズを操作することはできたが、細胞膜を変形させるほど十分な力を得ることができなかった。。
さらに、以下の点も明らかにした。4.以前の研究で細胞が移動しているとき、細胞の表面積が一定に保たれていることを明らかにした。一方、本研究で、細胞分裂時の細胞の表面積を測定した。その結果、細胞分裂時の細胞の表面積はおよそ20%増加することがわかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

申請者は、膜の供給の可視化プローブを作製し、噴水型フローモデルを支持する結果を得ることができたが、定量測定をすることが難しく、細胞運動時の膜の供給と取り込みがバランスよく釣り合っている証拠はまだ得ることができていない。
また、当初計画通り,電磁石を使って人為的に張力の勾配を発生させる装置の作成を行い、細胞内のビーズを動かすことはできた。しかし、細胞の形を変形させる細胞移動をコントロールするほどの力を発生させるところまで至っていない。
今年度の研究は、期待できるほどの成果ではなかったが、細胞分裂時の表面積を測定し、分裂の進行に伴い、細胞の表面積が増加することが新たにわかった。細胞は、常に表面積を一定に保っているのではなく、細胞周期のイベントに応じて、膜の供給や取り込みの量を調節する機構を持っている可能性を示した点である程度の進展がある。

Strategy for Future Research Activity

今後は、大きく分けて以下の3つの実験を行う。
1 平成30年度に作成したが、細胞への形質導入ができなかった膜輸送に関わるタンパク質と蛍光タンパク質の融合プラスミドの塩基配列を調べる。その結果を元に発現できなかった原因を解決して、膜の供給にかかわる候補のタンパク質すべてを細胞へ形質導入させる。その中から、定量測定できる可視化プローブを検討する。作成したプローブを発現した細胞を用いて、全反射蛍光顕微鏡で観察し、膜の供給と取り込みがバランスよく起こっているのかを明らかにする。
2 上記で作成したプローブを発現した細胞を用いて、細胞内に取り込んだ磁気ビーズを電磁石で引っ張り、細胞膜の形を一時的に変化させる。細胞膜の形が変化した間で、膜の供給が行われるのかを調べる。
細胞膜の形を変化させ、膜の供給が十分に行われるほどの力が発生しなかった場合、電磁石以外で細胞膜にかかる張力を制御する方法も検討する。
3 動物細胞で,細胞質分裂時に細胞膜の面積の大きな増減変化が報告されており,細胞膜の面積制御の仕組みを明らかにしていく上で,移動細胞との比較からも重要な知見が得られるものと考えている。そこで,細胞性粘菌でも細胞分裂に伴って,細胞膜の面積に変化があるのかについて,継時的に定量する。さらに,関連遺伝子欠損細胞についても面積を測定し比較を行い,細胞膜の面積制御に関与する責任遺伝子を見出す。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2018

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] 細胞分裂時の細胞膜の動態制御機構の解明2019

    • Author(s)
      田中 真仁、伊藤 剛、沖田 圭丞、祐村 惠彦
    • Organizer
      H30年理学部 研究交流会
  • [Presentation] Dynamics of cell membrane during cell division2018

    • Author(s)
      田中 真仁、伊藤 剛、沖田 圭丞、祐村 惠彦
    • Organizer
      第70回日本細胞生物学会第51回日本発生生物学会合同大会
  • [Presentation] 細胞分裂時の細胞膜の動態制御機構2018

    • Author(s)
      田中 真仁、伊藤 剛、沖田 圭丞、祐村 惠彦
    • Organizer
      第2回IoLシンポジウム
  • [Presentation] 細胞運動・分裂時の細胞膜の動態制御機構2018

    • Author(s)
      田中 真仁、伊藤 剛、沖田 圭丞、祐村 惠彦
    • Organizer
      第8回 日本細胞性粘菌学会例会
  • [Presentation] 細胞分裂時の細胞膜の動態制御機構の解明2018

    • Author(s)
      田中 真仁、伊藤 剛、沖田 圭丞、祐村 惠彦
    • Organizer
      第41回日本分子生物学会年会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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