2018 Fiscal Year Annual Research Report
小脳発生における自閉症感受性遺伝子Auts2の分子機能の解明
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18J10102
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山城 邦比古 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 小脳発生 / プルキンエ細胞 / Auts2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小脳プルキンエ細胞の発生における自閉症感受性遺伝子Auts2の生理機能の解析を目的とする。Auts2遺伝子は自閉症や知的障害、統合失調症など、様々な精神発達障害との関連性について示唆される遺伝子であり、大脳皮質や海馬、小脳など高次脳機能を司る脳領域で高発現することが知られている。近年、小脳は自閉症などの精神疾患発症に関連するとの報告があり、古くから知られていた運動制御中枢としてだけでなく、社会性行動などの高次な機能を司る脳領域として注目されている。胎生期大脳皮質においてAuts2遺伝子は細胞骨格系を制御し、細胞移動や神経突起伸長に関与することが報告されているが、小脳におけるAuts2遺伝子の役割は未だ明らかではない。そこで小脳領域でAuts2遺伝子を欠損するマウスを作製し、Auts2遺伝子を高発現する小脳プルキンエ細胞に注目して、解剖学、組織学および電気生理学的解析を計画した。 Auts2遺伝子欠損マウスでは、プルキンエ細胞の樹状突起が異常な形態を示すこと、また、プルキンエ細胞に形成される登上繊維シナプス形成領域の縮小および平行繊維シナプスの過剰形成が観察された。これらの表現型から小脳プルキンエ細胞に形成される2種類の興奮性神経伝達に影響があると推測され、電気生理学的解析を行なった。Auts2ノックダウンされたプルキンエ細胞に対してホールセルパッチクランプ法を用いて興奮性シナプス後電流(EPSC)を測定した結果、平行繊維由来の興奮性シナプス伝達を過剰に受けていると推察される結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Auts2遺伝子欠損マウスでこれまで見られていたプルキンエ細胞の形態学的異常をサポートするようなデータが得られており、おおむね当初の計画通り進んでいると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Auts2遺伝子の欠損がプルキンエ細胞の発生に影響を与えることが明確になりつつも、AUTS2タンパクのどのような分子メカニズムに起因するのかは未だ不明である。これまで報告されている論文や公共のデータベースから、AUTS2タンパクの結合パートナーを絞り込み、生化学・分子生物学的解析を進めていく。
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Research Products
(1 results)