2018 Fiscal Year Annual Research Report
回転ブラックホール近傍における高エネルギー粒子衝突とエネルギー引き抜き過程
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18J10275
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小笠原 康太 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 一般相対論 / ブラックホール / BTZ時空 |
Outline of Annual Research Achievements |
年次計画1年目の「高エネルギー現象の重力反作用効果の解析」の研究に取り組んだ。BSW効果に代表されるブラックホール地平面近傍における粒子衝突では、その衝突重心系エネルギーが非常に大きくなることが知られている。私と研究協力者はこのBSW効果に関して、衝突物体の自己重力効果が重心系エネルギーに与える影響を調べることを目的とし、3次元回転ブラックホール時空であるBTZ時空におけるシェル衝突の重心系エネルギーの解析を行った。 シェル衝突を用いることで、衝突時の自己重力効果が自然に解析に取り入れることができるが、一般に4次元の回転ブラックホール解であるKerr時空におけるシェルの運動の導出は、対称性の低さから困難であることが知られている。そこで私と研究協力者は、解析の簡略化のため低次元の回転ブラックホール解であるBTZ時空で解析を行った。 まずは、BTZ時空でも高エネルギー粒子衝突が実現されるかを調べ、Kerr時空と同様の高エネルギー粒子衝突が実現されるパラメーター領域を求めた。次に、BTZ時空にけるシェル衝突において、BTZ時空の地平面近傍でシェル衝突が起こった場合、シェル自身の自己重力効果によって重心系エネルギーは有限値に制限されることを示した。また、シェルの自己重力を無視する極限において、BTZ時空におけるBSW効果を再現することを確認した。この結果から、微小だがゼロでない自己重力効果は、回転ブラックホール近傍における高エネルギー衝突において重要な働きがあることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画通り研究が進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き自己重力効果の研究を発展させていくと共に、エネルギー引き抜き過程及び観測への示唆の研究に取り組む。
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