2018 Fiscal Year Annual Research Report
高ダークパーソナリティ傾向者の非道徳的社会化モデルの検討
Project/Area Number |
18J10345
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
下司 忠大 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | パーソナリティ / ダーク・トライアド / サディズム / 適応性 / 反社会性 / 道徳性 / ライフスキル / 情動機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,社会的に嫌われやすい (socially aversive) 特性であるダークパーソナリティ特性(マキャベリアニズム,自己愛,サイコパシー,サディズム) に着目し,高ダークパーソナリティ傾向者が非道徳的な行動傾向に至るプロセスについて検討するものである。そのプロセスを明らかにする上で本研究では第1に高ダークパーソナリティ傾向者の情動的特徴及び適応的・不適応的な行動傾向を検討し,第2に情動的な特徴が高ダークパーソナリティ特性を高めるプロセスの検討を行う。 今年度は,高ダークパーソナリティ傾向者の行動傾向及びそのアウトカムについて検討した。まず,高ダークパーソナリティ傾向者の適応的・不適応的な行動傾向についてDark Triad(マキャベリアニズム,自己愛,サイコパシー)と日常生活における問題解決能力を表すライフスキルとの関連を検討し,自己愛とライフスキルとが概ね正に関連すること,サイコパシーとライフスキルとが概ね負に関連することを示した。また,高ダークパーソナリティ傾向者の領域特異的な適応性について,サディズムとスポーツ競技成績との関連を検討したところ,サディズムはスポーツ競技における駆け引きの上手さを媒介して競技成績と正に関連することが示された。さらに,高ダークパーソナリティ傾向者の利己性について,高ダークパーソナリティ傾向者はゴミのポイ捨てをしやすいことを実験室実験で明らかにした。 以上の点から,高ダークパーソナリティ傾向者の適応的・不適応的な行動特徴が明らかにされた。これらの結果は高ダークパーソナリティ傾向者が非道徳的に社会化された後の行動傾向を表すと考えられ,高ダークパーソナリティ傾向者が非道徳的な社会化をするに至るプロセスを示唆するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は高ダークパーソナリティ傾向者の非道徳的社会化プロセスについて検討するものであり,今年度は特に高ダークパーソナリティ傾向者の行動特徴について検討した。その検討において今年度は国内の主要な学会誌に3本の掲載が決定していることから,現在までの進捗は「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で高ダークパーソナリティ傾向者の非道徳的社会化プロセスにおけるアウトカムの部分,すなわち,適応的・不適応的な行動特徴が明らかにされたため,今後は高ダークパーソナリティ傾向者がどのようにしてそのような行動特徴を示すに至ったのかを,情動機能に着目して縦断的に検討していきたいと考えている。
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